ローマ人の物語 1
ローマ人の物語 1ローマは一日にしてならず (上)
塩野七生(ななみ)
新潮文庫 \420
ローマ人の物語の文庫版です。
塩野さん(女性です)は長年イタリアに在住されているそうですが、ポジション的には学者、研究者ではなく、あくまで作家、執筆家ってことだそうで、ファクトに囚われることなく生き生きとした描写を楽しめます。
1巻目は、7代続いた王政と、共和制のさわりを紹介してくれます。
知力では、ギリシア人に劣り、
体力では、ケルト(ガリア)やゲルマン人に劣り、
技術力では、エトルリア人に劣り、
経済力では、カルタゴ人に劣るローマ人だけが、なぜかくも壮麗な一大文明圏を長期にわたって謳歌しえたのか。
優秀なプロシア軍がなぜ、烏合の衆のナポレオン3世の軍隊に敗れたのかを知りたくて、クラウゼビッツが大分な「戦争論」を書き始めたのに似て、大作を書き始めるに当たっては、まず「疑問」ありきなのでしょうか。
ローマの話ではないのですが、壮健な戦士を生み出すことのみに注力したギリシアの都市国家「スパルタ」では、男子は30歳になるまで、兵士としてのみの生活を送るため、ずうっとテント生活(平時でも前線での生活様式を固守するといったことでしょうか。)だったそうです。もっとも、生まれてすぐに長老たちの審査にかけられ、不適格とされた男子の赤ん坊は捨てられるか、奴隷にされたそうで、まことに厳しい都市国家だったようです。一方、スパルタは「スパルタ式」という単語のみを残し、歴史的には後は何にも残さなかったそうですが、それを以て誇り高きスパルタ人を馬鹿にするものではないと感じます。
あんまり深く考えずに手に取りましたが、徳川家康も半ばで小休止中だし、罪と罰も下巻の途中。どうやって読み進めるか思案のしどころです(というか思案せずに気分次第でしょうか。)。
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