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2005.01.01

すべてがFになる THE PERFECT INSIDER

4062639246.09.MZZZZZZZ[1]すべてがFになる THE PERFECT INSIDER 森博嗣 講談社文庫 \770

以前から、この人の本を読みたいと思っていました。エッセイ集というか著者自身の背景なんかを紹介した本、すなわち森博嗣ハンドブックみたいなの(実際は雑誌記事の寄せ集めに手を加えたものなんでしょうが。)は読んだことはあるのですが、小説は初めて。
いわく「理系作家」、いわく「手がめちゃくちゃ早い(仕事が)」、いわく「締め切りに一度たりとも遅れたことがない」。そして国立N大学工学部の現役助教授(って中部圏のN大って名大ってバレバレにしてるところがなんともいえないよな。)。
著者を知ったきっかけは、出張先で趣味人の紹介をする国営放送の番組に出演していたことでした。大学から帰宅した8時頃から12時頃まで、TVも新聞にも一切興味を示さず、ひたすらPCに向かって執筆活動。その後、10分だけ好きなモケイ(結構大きなものがメイン)作りに携わる。こういった生活を毎日継続することにより、2年半で10冊以上のボリュームある作品(しかもその作品間が見事に秩序だった体系を保っている。)を上梓。おまけに庭には、本格的な庭園鉄道が走る(これだけで本も出してる。)。
TV番組では、相当の印税が入っていると思われる邸宅と作業場が露にされ、ご自身自ら執筆活動を始めるきっかけが金銭的なものであったことをごく自然に吐露されていました。

作品はミステリなのでネタバレになる紹介はできませんが、文庫版の瀬名秀明氏の解説がこれまた秀逸。小説を読みながらも言葉にできずに感じていたもやもやを的確なフレーズで明らかにしてくれるので、とてもすっきりします。氏が解説で触れられていたように京極夏彦との類似性は半ばあたりで感じたのですが、京極堂ほどの「かなわない感」は感じないと思います。神経を逆撫でするようなすわりの悪さや重大事件が起きた割には淡々とした周囲の反応を感じてしまい「ムリあるやろ」って思ってしまうんですね。また、理系作家って言えば、遠くは石原藤夫なんかを思い浮かべますが、一般読者って酷なモンで結局はクライトンと比べてしまうんですね。ちなみにこの方の作品、すべて和題と英題が対になって一つなんですね。

ってことで著者の生き方やライフスタイルには憧れや共感をいまだ強く持っていますし、TVでの穏やかな語り口、伺える人柄はとても好ましいと感じるのですが、作品には少しなじめない肌合いを感じてしまいました。どの文をとっても屈折してるものを感じるもんな。ただし、これは私自身が屈折していることに由来し、屈折した表現に自分自身を見せつけられているように思えてしまうからかもしれません。でも、また読んでしまうかな、やっぱり。

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