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2005.05.22

日本のお金持ち研究

4532351359 日本のお金持ち研究 橘木俊昭 森剛志 日本経済新聞社 ¥1,890

今日の日経の書評に載ってましたね、って、これ、日経から出てる本かよ!

日本では殆ど無い富裕層に関する学術研究書ですが、体裁は一般書風になっており読みやすくなっています。著者によると、貧困層の研究は多いそうですが、富裕層のは殆ど無いそうです。大きな植木が植えてある広大な庭付き一戸建てを所有する(通信販売向け)富裕層名簿を作るため、大して儲かりもしない「高枝切りバサミ」を販売したという話、ホントかウソかは別にして、有名ですよね。こんな話が出るくらい富裕層向けデータは少なく、どうやら廃止されそうな国税庁作成の高額納税者一覧くらいしかないみたいです。これだって、かつてダイエーの中内社長は記載されるのがイヤで、過少に申告しておいて(というか建前的には錯誤のふりして)、修正申告するとかいった確信犯的な行動をとっていたとか(あくまで噂ですが。)。

そんなこんなで、あんまり庶民には関係ないものの、100億円部長などで何かと話題の高額納税者を分析した結果がまとめられています。正確には、「儲けた人」と「お金持ち」は、「高額所得者」と「資産家」という意味で別物なんですが、後者は網羅的な調査資料が無いので分析しようがなく、「高額納税者」を足がかりにしたようです。

<結論>

  • 「中堅企業のオーナー経営者」と「開業医」が高額所得者。
  • 上場企業の経営者や弁護士は、熾烈な競争の割には金銭的には報われない。今後、ますます割が合わなくなる。
  • クルマは、ベンツかトヨタ(セルシオかクラウン)。BMWとかボルボも多いけど、日産とかはあんまりいない。トヨタは故障しないから。
  • 開業医でも美容整形、糖尿病専門など、特定の診療科に集中。

・・・眼科医の「白内障バブル」の話や、権威、権力等と高額所得の「非一貫性(これ、キーワードです。)」、米国では「法学」を学部レベルで専攻することがないため法曹界の人間は必ず法学以外の専攻(たとえば、生物学など)を持っている、など興味深い小ネタも多く、読み終えると満足します。別に、読んだからといって所得が1円も増えることはありませんが。

 この本で実施したアンケート調査では、年間所得が概ね1億円以上の方が対象だそうですが、一方、年間所得500万円から1,500万円の間に7割方の人が収まってしまうそうです。これを踏まえてアバウトに言えば、年収500万円未満だと貧乏で、1,500万円までが一般庶民、1,500万円を超えるとリッチってことなんでしょうか。ワタシの個人的な感覚的では、年収350万円~2,000万円くらいが一般庶民ってイメージなんですが、ワイドレンジ過ぎる気もするしなぁ。でも、新入社員の年収が350万円で、ちょっと出世した部長さん、役員さんなんかが2,000万円クラスとすれば、一般庶民の枠をこれくらいに置いても不自然じゃないよな。電車通勤が一般的な通勤圏では、一部の公務員を除いては年収5,000万円クラスの人までは電車通勤してるもんな。電車通勤するかしないかで、高額所得者かどうかの線引きをするってのはどうなんだろうか。

<目次>

序章 「お金持ち」とはどんな人々か
    知ってるようでよくわからない現代日本のお金持ち像/お金持ちの全国調査などできるのか―生活実態調査アンケートの敢行/日本のお金持ちは二つのタイプ―集計結果からみえてきたこと/企業経営者と医師が高額納税者の二大メジャー職業/お金持ちのプライベート・ライフ/人生の成功モデルは変わった/昔も今もモノ作り国家・日本
   コラム お金持ちはどんなところに住んでいるのか

第1章 医療の需要と供給からみた医師
    アメリカの先行研究/日本の資料からみた医療の需要と供給/拡大する糖尿病患者/水は高きから低きに流れる/大組織から個人へ
   コラム(1) ある眼科開業医からの手紙
   コラム(2) 子は親の思いどおりには育たない    

第2章 弁護士という職業
    日本の弁護士の経済状況/歌舞伎役者と裁判官と弁護士は有名になればなるほど忙しい/高額所得弁護士は四タイプ/多様な人材が集まるアメリカ法曹界
   コラム(1) 極貧の中から弁護士を志す
   コラム(2) ある弁護士からの手紙

第3章 経営者はお金持ちか
    戦前の経営者群像/戦後の経営者群像/日本は「学歴主義」社会か/経営者層と学歴との関係/誰が経営者になるのか/経営者という職業は割に合う仕事か
   コラム 一流の経営者の語る人生観と世襲

第4章 日本の上流階級
    階級とは何か/階級を歴史でみるとどうか/戦前の高額所得者の姿/高額所得者から高額納税者へ―戦後の実相/パワーエリート/不明確となった「上流」の意味
    
第5章 お金持ちの資産形成
    お金持ちの貯蓄率は高い/従来の仮説でお金持ちの貯蓄行動を説明できるか/遺産を考慮したモデルでは説明できるか/資本家精神モデル
   コラム(1) 年齢と資産との関係
   コラム(2) 年齢・学歴
   コラム(3) 親と子の結びつき

第6章 お金持ちの日常生活
    平均的日本人の余暇の過ごし方/お金持ちの余暇の過ごし方/年齢が高くなるにつれて、より仕事に精を出す人が増える不思議/お金持ちが望む将来の活動/どんな価値観が大事なのか
   コラム 高額納税者の自家用車

第7章 高額所得者への課税
    高額所得者への課税の現状/なぜ累進度を弱めるのか/所得税の累進度をめぐる議論(1)―容認論/所得税の累進度をめぐる議論(2)―否定論/経済学からみた累進所得税制/日本の所得税制の実態:外国との比較を含めて/他の税制の実態:相続税、土地譲渡益税、株式譲渡益税/高額所得者は税制をどう 評価しているか

第8章 結論

参考文献

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