下流社会 新たな階層社会の出現
下流社会 新たな階層社会の出現 三浦展 光文社文庫 ¥819
パルコのマーケティング雑誌「アクロス」の編集長を経て三菱総研に入社されたユニークな経歴のマーケティング・アナリスト。新・階層問題における消費社会論(これは日本で唯一らしい。)。
若者にウェイトを置いた、生活感を主観的に表した「上」、「中」、「下」層分析を基礎にして日本の今とこれからを解説しています。その殆どが、(標本の多寡による有意性はともかく)アンケートの定量的な丁寧な分析によるもので説得力があります。図、表も多く、ページ数をはるかに超える労力が投入されていることが容易に推測できます。
「女性の分裂」
- お嫁系
- ミリオネーゼ系
- かまやつ系
- ギャル系
- 普通のOL系
「男性の分裂」
- ヤングエグゼクティブ系
- ロハス系
- SPA!系
- フリーター系
- 「上」が15%、「中が」45%、「下」が40%の時代がやってくる。
- 「団塊の世代」の子供は「団塊ジュニア」より、やや後ろの世代。
- 700万円をとるか子供をとるか。(・・・切な過ぎる。)
- 自分らしさ志向は「下」ほど多い。(ここでいう「自分らしさ」は伝統的な向上心に結びついたタイプのものとは大分違うみたい。「ひとりでいたい」とか。)
- 自分らしさ派は階層意識も生活満足度も低い。
今日の日経(神戸新聞だったか?)の書評に載ってました。アマゾンの書評では賛否両論(この意見の割れ方を見るだけでも面白い。)ですが、ちょっと変わった社会現象分析本として、身の回りの事象に当てはめていくような読み方でも結構たのしめます。宮台真司ほか、特定の個人に対してずいぶんと辛らつな表現が出てくる箇所があったりして、唐突な印象を受ける箇所もありますが、まじめなようでくだけた風な書きぶりも親しみが湧いてきます。
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コメント
買いませんでしたが、たまたま本日この本を手に取りました。何となくタイトルにひかれて。
また本屋に行ったら、もう少し読んでみよう。
投稿: Mizo | 2005.10.23 22:12
私も、買おうか買うまいか、少し立ち読みしたクチです。すでに2冊手に抱えていましたし。「希望格差社会」など社会学者や福祉関係者、ジャーナリストの手になる類書は他にもありますが、マーケター(正確にはマーケット・アナリスト)になる「消費」を切り口にしたライフスタイルから実相に迫ろうとするアプローチがユニークに感じました。
投稿: ぼんたろう | 2005.10.23 22:50
結局買ってしまいました。
明日以降読みます。
投稿: Mizo | 2005.10.25 21:01
きっとご満足いただけることと存じます。(って著者でもないのに。)
投稿: 凡太郎 | 2005.10.26 01:41
とりあえず思ったこと。
少子化は日本でも階級が固定化されつつあることが遠因としてあるのかなぁと思い始めています。
昔みたいに「勉強して大学に行けば上(の階級)に行ける」なんて時代ではないと思いますし。なんか子供を産んでも、子供の将来に漠然とした不安感を感じている人が多いのではないかと。
もう少し詳しくは自分のエコログに書く予定です。
投稿: Mizo | 2005.10.27 19:59
Mizoさん、コメント、ありがとうございます。
ウチの下の娘(小3)が、「勉強して、いい大学に入ったらいい会社に入れるわけ?でも、それはいいことなわけ?」と批判的な口調で問いただしてきた時には、オトナよりコドモの方が先入観なく物事を見ているんだなぁ、と感じた次第です。いや、ただの親バカ(バカ親?)かもしれません。
もちろん、エコログも覗かせていただきます。
投稿: 凡太郎 | 2005.10.28 01:14
すいません、エコログの記事を書き直したら、トラックバックが2発も行ってしまいました。片方消して頂けたらと思います。
投稿: Mizo | 2005.10.29 21:51
了解しました。
私も時々やってしまいますのでお気になさらないでください。
。
サーバーの反応が不確かに感じられた際なんかこうなってしまいますよね。
投稿: 凡太郎 | 2005.10.30 20:10
こんにちは、犬笠銀次郎と申します。
この間、この本を本屋でざっと読みました。読了後の感想は「富裕層/中間層の暇なオヤジが読むオナ本」という印象でした。私のサイトでは、階層社会の日本での実現不能性や希望格差社会の曖昧さに関して雑筆で簡単に検証してみました。よろしければ、後で御笑覧下さい。
それでは、失礼します。
投稿: 犬笠銀次郎 | 2006.01.15 14:06
犬笠銀次郎さま
”雑筆”、面白く拝見させていただきました。私が持っている感覚に近いものを感じました。セーフティネットやゲームの公平性の実現可能性は、公債残高の破滅的な増加や国家レベルでの意思決定システムの曖昧さ・のんびりさを考えると、まずなさそうですね。
私自身、この手の本を見かけると、「買っても時間のムダなんやけどなぁ。」なんて感じつつも、結局は購入してしまいます。この点に関して、「這い上がれない未来」の中で藤井厳喜氏が、下流に落っこちそうな不安を抱いている中の中あるいは中の下の連中がこういったテーマに関心を寄せている、といった趣旨のことをおっしゃっていました。この本、「下流社会」も、三浦氏の狙いがどの層にあったのかは判りませんが、(収入や資産で括った意味での)アッパーやアッパーミドルだけではここまでのベストセラーにはなりえなかったわけでしょうから、一種の「不安本」なんじゃないでしょうか。
昔から「お子さんのため」「健康のため」「美容のため」の3つが不安ビジネスの殺し文句とよばれてきましたが、「下流に落っこちないため」ってのもイイネタになっているのかもしれませんね。ただし、少々巧妙に仕掛ける必要はあるのでしょうが。
投稿: ぼんじん日記 | 2006.01.15 20:22