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2006.01.15

這い上がれない未来

4334933718 這い上がれない未来 藤井厳喜 光文社ペーパーバックス ¥1,000

三浦さんの「下流社会」を意識した箇所もありますが、光文社ペーパーバックスにおける著者の三部作完結編としての位置づけのようです。私は前2著を読んでいないので、なりゆきとして「下流社会」あるいは「希望格差社会」の流れで読むこととなりました。

Amazonの書評、読後感にも同じように感じておられた方がいたのですが、挑戦的、挑発的な書きぶりが多く、不快感を感じることがありました。また、やたら断定的、決め付けの言い回しが多い点も信頼感を損ねているように感じました。ただ、結果として距離を置いて読むことになるため、却って冷静に読めることとなりました。

Amazonの紹介文より。

このままでは、あなたは這い上がれない!
■ 次の会話をしている母と娘のいる家庭は、どの階級に属するだろうか?
娘「ママ、私のヴィトンのバッグ見なかった?」
母「シャネルのなら、タンスの中にあったわよ」
娘「シャネルはこの前使ったわ。だから、今日はヴィトンのバッグにしたいの」
この家庭は下流 lower である。上流 upperなら、けっしてこんな会話はしない。なぜだかわかるだろうか? いまや、「下流社会」は日本だけでなく、世界規模で形成されている。そして、多くの人々が「下流転落」 sinking to the bottom に怯えている。
■本書は『新円切替』『「国家破産」以後の世界』に続く完結編であり、今後の日本社会の有り様が、格差のひらいた「新・階級社会」になることを示唆するものである。それはつまり、9割の人々が下流転落する「這い上がれない未来」 never-climbing society だ。しかし、このような社会を自分にとって好機と考えるか絶望ととるかはあなた次第だ。こうした社会でわれわれはどう生きていくべきなのか?

 副題に「9割が下流化する『新・階級社会』」とある。ここでいう下流とは「下流社会」の下流のことであり、貧困層と同義になる下層とは異なる。経済的(所得、資産)に5分した下から2,3層目のイメージのようだ。また、各層が同比率ではなく、1番目、5番目は殆ど存在しないも同然の存在として扱われており、殊に5番目について触れられることは殆どない。ちなみに1番目は、「人生すべてひまつぶし」。一生、働くことなく海外旅行三昧、といった人たち。相続税が重い日本では殆どいないのでは。ここで「日本では」と表現したとおり階層化の傾向は世界的に広がっており、中流が下流に転落しつつある原因はコイズミ改革の成否には何の関わりもないと言い切っている。単にグローバリズムが激しくなっているだけだと説く。世界経済における労働力として、韓国人、中国人、インド人あるいは他のBRICs諸国、インドネシアの人々なんかと掛け値なしに競争している訳ですから。

「じゃ、どうすんの?」ってことに対する明確な回答は用意されていない。これを社会的な側面から見れば、「不十分だ。」ってことになるのだろうが、あくまで個人の課題すなわち処世、ライフプランとして捉えるなら「こんな本で回答を期待すること自体が下流の発想」ってことになるんだろう。なんでも下流ほどハウツー本を好むらしいし。

著者は米国留学期間が長かったらしく、米国の事例が多いが英国などEUや中韓を始めとするアジアの諸事情も散りばめられている。色んな事象に話が飛ぶことも多いけれど、「大きなコラム」として「こういった社会の見方もあるんだ。」と受け止めながら読めば十分に楽しめると思います。

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