« RAINBOW 12 | トップページ | 永ちゃん 俺たちはもう一度走れるだろうか »

2006.02.19

10年後の日本

4166604791 10年後の日本 「日本の論点」編集部編 文春新書 ¥766

ぶっとい本として有名な「日本の論点2006」の編集部が作ったライト版。

 大抵の方にとっては、殆どの論点が「くわしくは知らないけれど、なんとなくトレンドは知っている。」といったものではないでしょうか。私にとってもそうであったわけですが、「石油の無機起源説」と「2050年にはBRICsのGDP合計が先進6カ国のそれの1.5倍になる。」という解説には、心底驚きました。前者は19世紀から唱えられていたものだそうですが、動植物の遺骸に起源を置く石油有機起源説が、「石油の有限性」の根拠となっているのに対し、無機起源説では、「石油はほぼ無尽蔵に地球の中から湧いてくる。しかも(どこまでどうやって掘るか、掘れるかといった技術的な課題はさておき)地域的な偏在性はない。」とされている。21世紀になっても、「石油の由来」って何かわかってない、なんて貧相な科学のありさまですね。子供の頃、「石炭は植物から、石油は恐竜から」なんて本で読んだとき、「恐竜ってそんなに多かったんか。でもなんでエジプト(小学2年生のころはエジプトが中東の全てだった。)だけに恐竜って棲んどってん。」なんて不条理さを感じていた。

1.変わる日本のかたち

  • 格差の線引き 自由な競争が社会を引き裂く
  • 治安悪化 警官増員するも検挙率上がらず
  • 消費税二けた化 大幅な引き上げは必至
  • 地方分権のゆくえ 貧乏自治体から住民が逃げる
  • 老朽化するインフラ 巨額の血税が廃墟列島に消える

2.鍵をにぎる団塊世代

  • 大量定年のその後 700万人が”無職老人”と化す
  • 逃げ切り世代の落とし穴 退職金、企業年金があぶない
  • 第二の人生 世界一長い余生を楽しく過ごす
  • がん人口急増 団塊世代ががん年齢まっただなかに
  • 貯蓄率低下 「背伸び消費」で段階が貯金を取り崩す

3.ビジネスマンの新しい現実

  • 「匠の技」の断絶と流出 ものづくり大国の凋落が始まる
  • 移民開国への土壇場 人材の空洞化は避けられない
  • 訴訟社会の到来 弁護士大増員が係争増加を招く
  • バブル入社組の暗転 ”第二の団塊”に最後の審判が下る
  • マンション・オフィスビルの供給過剰 都心に不動産暴落の危機
  • 進化するテクノロジー ロボットが少子化時代の救世主になる

4.漂流する若者たち

  • Y世代の台頭 成長を信じない若者が新たな文化の担い手に
  • フリーター500万人時代 定職をもたずに老いる若者たち
  • 労働力の外注化 個人のライフスタイルが働き方を決める
  • 学力の衰退 ゆとり教育と大学全入の弊害が噴出
  • ひきこもりの高齢化 親の負担から社会の負担へ

5.世代が対立する高齢社会

  • 年金崩壊 約束された給付水準は守られない
  • 縮小する介護サービス 高齢者が日本を脱出する
  • 老人ホーム戦国時代 選択肢は増えるがトラブルも多発
  • 高齢者の都心回帰 大都市郊外の過疎化が深刻に

6.家族の絆と子どもの未来

  • 虐待の連鎖 殴られて育った子が虐待する親になる
  • 教員大量定年 危惧される指導力の低下と教育格差
  • 教育の自由化 競争原理の導入で学校も生徒も淘汰される
  • 子どもの体力低下 2016年オリンピック惨敗の予感

7.男と女の選択

  • 出生率低下 結婚したくてもできない男女が増加
  • 離婚ラッシュ 「年金分割」施行を待っていた妻たち
  • 生殖医療の限界 子の「知る権利」法制化で精子提供者が激減
  • 代理母の功罪 不妊夫婦は海外をめざす
  • 変質する夫婦観 10年後に専業主婦が20万人を突破

8.地球環境の危機

  • 切迫する大震災 30年以内に首都圏直撃の確率は70パーセント
  • エネルギー危機 激化する資源戦争に新たな展開が
  • 地球温暖化の悪夢 人類による自然資源の浪費がつづく
  • 飽食の未来 食糧危機がやってくる
  • 恐怖の感染症 エマージングウイルスが猛威をふるう

9.グローバル経済の奔流

  • 財政破綻へのシナリオ 2010年、国債の大量償還の危機
  • 暴走する金融市場 長期金利の暴騰とハイパーインフレが来る
  • 中国経済の過熱 失速一歩手前までヒートアップ
  • BRICsの台頭 日本に新しいパートナーができる

10.不安定化するアジア

  • 北のミサイルの脅威 そのときMDは役に立つか
  • 現実化するNBCテロ 試される国民保護法の真価
  • 南北統一する朝鮮半島 統一が新たな対立の構図をつくる
  • 中国共産党崩壊の可能性 揺らぐ一党独裁の正当性

 打ち込み、しんどかった。さて、1年後、この本が改訂された際にどんな内容に変わっているか、楽しみです。

|

« RAINBOW 12 | トップページ | 永ちゃん 俺たちはもう一度走れるだろうか »

「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

「経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

そうなんですよ。「石油の無機起源説」って完全に否定されたわけではないようなのです。
足下のこともよくわかっていないのが、科学の現状だと思います。
「バブル入社組の暗転 ”第二の団塊”に最後の審判が下る」なんて全くの当事者です。

投稿: Mizo | 2006.02.19 22:17

石油でもメタンハイドレートでも構わないから、日本近海から大量に湧いてくれんもんでしょうか。資源無いですもんね、わが国。
”第二の団塊”ってのも、見方によっては数のパワーにも転換できるものを秘めているってことでしょうか。

投稿: 凡太郎 | 2006.02.19 23:00

メタンハイドレートも、たとえ大量にあることがわかっても、現在だと商業生産できる回収技術が確立されていないのです。地下数キロに凍った状態で存在しているわけですから、これは大変です。
現段階では「資源」とは言い難い状況です。

投稿: Mizo | 2006.02.21 07:04

失礼しました。この分野、Mizoさんのご専門でしたね。貧相な科学なんて書いてしまって、まことに申し訳ありません。

メタンハイドレート、指くわえておくだけですか。いくら沢山あっても、手に入れることができなければ「資源」じゃないですよね。

投稿: 凡太郎 | 2006.02.21 22:12

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/60334/8742836

この記事へのトラックバック一覧です: 10年後の日本:

» 10年後の日本 悲観論者的オプティミスト [システムエンジニアの晴耕雨読]
「10年後の日本」文春新書を読む。今後の10年について考えるための材料を、日本と日本を取り巻く世界について10分野47項目にわたって、問題提起する。(発売後2ヶ月後に勝ち組の象徴として載っているホリエモンが逮捕とは・・予測も難しことを暗示?!)まず、冒...... [続きを読む]

受信: 2006.03.04 20:49

« RAINBOW 12 | トップページ | 永ちゃん 俺たちはもう一度走れるだろうか »