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2006.05.21

バブル再来

447860049x01_pe00_ou09_scmzzzzzzz_v51433 バブル再来   ハリー・S・デント・ジュニア著 神田昌典監訳 ダイヤモンド社 ¥2,100

 いま日本で、バブルといえば、「バブル青田?」といわれるくらい、バブルは遠い過去のものとなってしまいましたが、ここでいう「バブル」とは、実態経済を伴わない過剰流動性のことを指すものではなく、未曾有の好景気・上げ相場といった健全な意味合いを内包したものも含めているようです。ただ単に、上げ相場、と理解した方がわかりやすいかもしれません。また、「バブル再来」と言われて、ココロ躍らせる想いや、目を輝かせる方々、まちがいなく、アナタはオッサン、オバハンのはずです。なにしろ、昭和から平成に移るくらいの遠い過去なんですからね。私自身、20代後半にバブルに遭遇し、翻弄されたというよりも踊った類ですから。平成元年に最初の家を買った際、同時期に2,000万円台で購入された二軒先のご近所さんのところに、購入後半年もしないうちに、売却元の不動産業者から「8,000万円で買い戻させてくれ。」とオファーが来たり。NTT株で小金を稼いで高級車を購入した方がおられたり。ダイナミックなハナシが日常に溢れかえっておりました。

 著者は、日本がバブル景気で浮かれていたときに、バブル崩壊の時期とアメリカのITバブルの到来を(公表当時はバカ扱いされながら)的中させ、その後も大方のアナリストの見方と時には正反対の見通しを出しながら、大局的には的中させ続けてきたという実績を持っているそうです。もっとも、当たるかどうかといった占い性よりも、人口動態でものごとを切り取っていく考え方が大事なんだと思います。あっさりと書いてありますが、日本の人口のピークが2005年になるとも言い切ってありました。国勢調査の速報値が出るまでは、日本国内では2007年になると信じられていたことを考えれば、ここでも説得力を感じます。

 この本は、米国の株式、不動産(もっとも、居住用あるいは別荘で、投資用を念頭にしたものではありませんが。)を主体にした相場を大局的に解説したものではありますが、人口動態を統計学的に解析して、マクロ経済、ことに投資環境の分析にあてはめているところが斬新なようです。伝統的な財政学、経済学、金融論のアプローチに馴染んだ方には、不安感や頼りなさを感じられるかもしれませんが、これぐらいあっさりしていた方が説得力があるのかもしれません。晩年のドラッカーも、人口問題、食糧問題が人類にとって最大の課題であり、唯一の自明の事象であるといったことを述べていましたし、ジム・ロジャースが世界中を回って、「食糧問題」に辿りついたのも、その根幹に「人口問題」があることは疑いの余地はないでしょう。

 ミクロのマーケティングの世界では、世代別のセグメンテーション手法が古くから多用され、より細分化されたり、F1,F2なんて用語はいまや専門用語というよりも常識の範疇に入りかけている感さえありますが、上述の通り、投資の世界では一種のキワモノ扱いのようです。個人的に体験でも、「最近は、若いヒトがウチの商品を以前ほど買ってくれなくなりまして・・・。」というハナシを聞くことがままありましたが、買ってくれなくなったのではなく、買ってくれる若いヒトの人口そのものが、団塊ジュニアの加齢に伴い減少していると分析するべきだとお応えしたことがありました。毎年、人口ピラミッドは変形していくのですから、コロナ(→プレミオ)、サニー(→ティーダ)といった大衆車の寿命が尽きたことが象徴する意味を理解せねばなりますまい。

 米国人向けに書かれた本のようですが、日本がどうなりそうかにもそれなりに詳しく触れられています。信じるかどうかは別にして、答えが知りたい向きは本書をご購入ください。ちなみに、私のフトコロには、この本が売れようと売れまいと1円も入ってきませんが。

 400ページ以上ありますが、日常生活にはあんまり関係ない米国市場の箇所はある程度飛ばし読みできますし、面白いだけにすぐ読めると思います。

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コメント

あのころ預けた郵便局の定額貯金、すごい利息が付いてかえってきました。
今の会社に潜り込めたのもバブルのおかげかも・・・
でも普通じゃなかったですね、あのころの感覚って。私としてはもうバブルは来なくていいと思っています。(もっとも私が決められることではありませんが(^^ゞ)

投稿: Mizo | 2006.05.21 20:06

 当時の定額貯金、アバウトに言って10年で倍になっていたかと思います。ただ、日本が史上まれに見る低金利政策を継続しているため、かつての金利が随分高く感じますが、10年で倍というのは、国際的に見れば「やや高金利」って程度で異常なものではなかったと思います。

 中国の沿海部や米国では、実態経済が伴っているとはいえ、バブルが10年以上続いていますし、一部の中東では石油バブルが50年続いているといえるかもしれません。

投稿: 凡太郎 | 2006.05.21 20:32

今日外勤中に書店で平積みになっているのをみましたが、中身をみる時間がほとんどありませんでした。
為替とか株価とかは細かく変動しますが、人口ってさらに長いトレンド(10年、50年以上)に影響を与えているんだろうなと思います。

投稿: Mizo | 2006.05.23 17:36

長いトレンドに影響を与えるだけに、悪い方に流れ始めるととどめ難いんですね。今の日本みたいに。

投稿: 凡太郎 | 2006.05.25 01:10

人口先細りの日本。投資してもトレンドとしては先細りでしょうか・・・・
株がインフレに強いと聞いて、手持ち資金のインフレリスク低減に有効かと思い始めていたのですが。

投稿: Mizo | 2006.05.26 10:54

 Mizoさんのお勤め先が、何らかの企業年金制度を持っておられるなら、恐らくはその40~50%は株式投資に回っていることと存じます。言い換えれば、大企業にお勤めの方々の大半が自身の退職金(企業年金)の半分近くを”株”に委ねておられるわけです。「株は怖くて」とか「よくわからないので。」とおっしゃる向きも、堂々と第二の人生を”株”につぎこんでおられることになり、少々、滑稽な印象さえ受けます。

 大きなトレンドでいえば、今は「どんな株でも買えば値上がりする。」って状況でしょうが、じっくりと銘柄研究して、気に入った株を少々気長に値上がりするのを楽しむのが私の流儀です。何か一つコダワリの指標を挙げろ、と言われれば、ワタシの場合は、低PBR株です。いつになるかは判りませんが、いつかは必ず見直されてググッと値上がりします。もちろん、ブームに乗り損ねて大ヤケドを負ったこともありますが、今は4~6年ほどホールドして少なくとも2~3倍にはなっている銘柄ばかりのようです。

 また、全面安でもしっかりと儲けている方もおられますし、そんなときこそ仕込み時。誰もが株式相場から逃げ出している時期に、こっそり仕込んで3~4年、相場が盛り返すのを待つってのも密かな楽しみになりますよ。

 そして、自国の案件に投資できないということは、それ自体が悲劇的なことだと思います。

投稿: 凡太郎 | 2006.05.27 01:39

言われてみればその通りですね。無意識なだけで年金はどこかで運用されていなければ増えないわけで。
安全だと思い込んでいる預金も、なにかしらに投資されているからこそ利子が生み出されている。
私自身が勘違いをしていたようです(^^ゞもうすこし勉強が必要でした。

投稿: Mizo | 2006.05.27 07:25

Mizoさん

エラソウなことを書き込んでスミマセン。

 「銀行」や「郵政公社」というブラックボックスを介してわけのわからない先へ分散して融資、運用される預金や貯金に比べ、株式投資は、(自分が納得できる会社など)投資先を特定できる分、むしろ安心(納得というべきでしょうか。)できるとさえ感じます。「(いろんな意味で)こんな立派な、共感できる会社が世間にはあるんだ。でもその割には株価としては評価されていないのはもったいない。」と感じたときが投資どきだと感じます。
 個人的には、決済性のものを除き、貯金とか預金には殆ど興味を持っていません。金融機関の救済のために、利息が税金代わりに奪われているようなものですし。

投稿: 凡太郎 | 2006.05.27 12:15

そういう見方で株をとらえたことがないので、参考になります。
現代社会に生きている限り、「投資」というものからは逃れようがないのでしょうねぇ・・・株の投資に限らず。たとえば

  • 会社は社員に教育という投資をすることがある
  • 仕事をする上でカネを使わないことがよいというわけではない。会社のカネを担当業務に適切に使う(=投資する)ことによってさらなる利益を生み出す方が会社的には望ましかろう

というところを思いつきました。意識していなくとも、人間は投資し、投資されているものだと。

投稿: Mizo | 2006.05.27 14:59

投入するものと、見返りが回収できるものの関係の程度で、「賭博」、「投機」、「投資」に区分する考え方や、責任の負い方の違いで、「投資」と「融資」が区分されたりします。

一方で、そもそも見返りを期待しない「慈善」や「相互扶助」が、人口動態の変化の中で、より一層重視されるべきと思います。こういった領域は、Mizoさんがおっしゃるような、無意識の投資と重なる部分も少なからずあるのでしょうね。

投稿: 凡太郎 | 2006.05.27 17:23

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