数式を使わないデータマイニング入門
数式を使わないデータマイニング入門 岡嶋裕史 ¥735 光文社新書
副題に「隠れた法則を発見する」とあり、オビには、「グーグル、アマゾン- Web2.0時代に必須の技術を、本質から理解する」とあります。Mizoさんのご推薦で手に取りました。
内容は目次を参照いただくとして、説明上のサンプルとして引いてくるのが、「禁欲の誓いを立てた仲間の中で、異性交遊をしている裏切り者は誰か」とか「チョコレートが1,2月によく売れる理由はなにか」、あるいは「モビルスーツのクラスタ分析」、「軍用機の自己組織化マップ」なんて、オトボケであったり、(ゆるく)オタッキーなネタ。これも読者層を意識したも のなのか。ちなみに、クラスタ分析では、「うふふ、集束爆弾のことでしょう。親爆弾から子爆弾が飛び散ることで殺傷能力を高めているんだよね。僕はCBU-87CEMが好きだな。あれを大量に抱いて離陸するF-15Eは美しいよ」なんて、不謹慎な表現も出てきますが、ストライクイーグルの写真とコンセプトを初めて知ったときには、へぇ~と感じただけに非難するばかりでもおれません。もちろん、クラスタ分析とは関係ないクラスタ爆弾の話です。また、自己組織化マップを5段階で説明する際に、「そして、最終形態として図7-5のようになってしまうと、すでに意味不明である。」と記されているものの、個人的な印象は「明快やん。」。もっとも、その後の本書の記述は説明的で、「それでも、見る人が見れば、左上が米軍機、右上がロシア軍機、左下がフランス軍機、右下がスウェーデン軍機であることが分る。・・・」なんて書いてあって、「オレって見る人なんや。」と優越感をくすぐってくれる。「ラファール」や「JAS39」なら、ミリオタやエアオタっていうほどの人でなくとも分かるでしょうから、著者はギリギリのセンで読者の優越感を見越して書いているようにしか思えないんですが。というわけで、二重に楽しめました。
<目次>
第1章 隠れた法則を見つける技法
第2章 ビジネスで使われるデータマイニング
第3章 データマイニングの手順
第4章 落としどころを探る―回帰分析
第5章 効率的に判断する―決定木
第6章 分けることは分かること―クラスタ分析
第7章 複雑な分類―自己組織化マップ
第8章 買い物かごの中身は?―連関規則
第9章 神経をまねしてみる―ニューラルネット
第10章 データマイニングと情報管理
第11章 監視社会とデータマイニング
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コメント
前半の話に出てくる例はおちゃらけているものが多いのですが、終盤の監視社会の話になるとえらくシリアスになっていく。これも、1冊の中でメリハリを付けて、読者の関心を途切れさせないようにする工夫なのでしょうか!?
投稿: Mizo | 2006.06.25 07:19
最終章ですね。おっしゃるように、急にトーンが変わったように感じました。
ロンドンでは、公共性のある場所(必ずしも公的セクターの場所だけとは限らないようです。)に、告知させるための看板を出しているものの多くの監視カメラが設置してありました。
また、名指しは避けているものの、監視社会に関して、筆者はグーグルを相当に意識しているように感じました。
投稿: 凡太郎 | 2006.06.25 09:47
情報の監視を国が依頼して、googleが対価(便宜)を受け取る、なんて時代も近いかもしれませんね。
投稿: Mizo | 2006.06.25 11:23
それ、おもしろいですね。しかも、ありえそう。
投稿: 凡太郎 | 2006.06.25 14:03