新「日本沈没」は、平成の「妖星ゴラス」か。
「日本沈没」、第一印象、樋口カントク、ついにモノにしたって印象です。思い入れたっぷりの「ローレライ」の評判が結構辛らつなものが多かっただけに、溜飲を下げておられるんでしょう。この一作で、40歳にして文句なしに押しも押されぬ大監督になられたってことでしょう。凝り懲りの特撮も、こだわったところをあっさり見せることで、よりリアルに感じさせてくれているように感じました。日本家屋のミニチュア、エアコンの室外機なんて涙がでそう。
いきなり、スーパーピューマからぶら下がりながら登場する柴咲コウに圧倒されて・・・。これ以上はネタバレになるんで打ちませんが、リメイクでありながら、ただのリメイクで終えないところがサスガ。石坂コイズミも笑わせてくれたけど、大地真央、カッコよかった。
そして、旧作へのオマージュともいえる器材の登場や、設定、展開、結末などなど、様々な意味で「日本的」なところもうれしい。
エンドロール、富野、福井、庵野の三氏の名前が並んで出たところで、「アレ、またやったな。」と感じましたが、家に帰ってパンフを見たら、庵野さんの横は、安野モヨコさんでした。夫婦でご出演かよ。しんかい2000(ネタバレ)が潜るシーンで、独立行政法人海洋研究開発機構の水色のユニフォームのメカニックの面々が意味ありげに長回しされていたけれど、あそこだったんだろうか。
未曾有の危機を、人類の叡智と協力により大掛かりな舞台装置で乗り切る。「妖星ゴラス」の南極ロケット群やこれも小松左京さん原作の「さよならジュピター」に相通ずるものを感じてうれしい。命を張って「知恵と努力で難局を乗り切れ」っていう、熱い樋口カントクならではのメッセージと受け止めたい。今の日本も、沈没しそうでも、徳俵で踏みこたえるところを見せつけて欲しい、世界に見せつけようぜ、と訴えているんでしょうか。
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コメント
ただのリメイクではなくて、現代をいろいろ取り込んだ、意欲的な作品だと思います。
旧作を知っている人も楽しめると思います。
投稿: Mizo | 2006.07.30 09:53
そうですよね。意識せずとも旧作と比べながら見てしまうわけですが、田所博士が新聞紙を万年筆で破るシーンで「えっ」と感じてからが、樋口カントクの真骨頂ですね。
「ローレライ」では思い入れが空回りしてしまった分、「見せたい」、「どうだ見てくれ」って姿勢から、「どう見られるか」、「(ヒトの目には)どう映るか」をより意識されたように感じました。
投稿: 凡太郎 | 2006.07.30 10:28