« 神様からひと言 | トップページ | 映画 父親たちの星条旗 »

2006.11.12

民営化という名の労働破壊―現場で何が起きているか

427231045301_aa240_sclzzzzzzz_v41615023_ 民営化という名の労働破壊―現場で何が起きているか  藤田和恵 大月書店 ¥1,470

 最近、日暮れが早まっていることもあるのか、とも思うが、郵政公社の郵便配達の赤バイクがライトを煌々とつけて夜の8時くらいまでブンブン飛び回っている光景に出くわすことが多いように感じる。民営化を控え、合理化のしわ寄せがおかしな形で現場へ津波を食らわせている様子が、「悲惨」という2文字に集約しきれずに紙面から零れ落ちる。

 民営化の理念は「正しい」のだろうが、その過程では「民業圧迫」、「現場へのしわ寄せ」そして「地方切捨て」へ向かう。「トヨタ方式」だって決して間違っているわけではないだろうが、そのやり方の基礎にある哲学を皮膚感覚で十分に身につけ、高度に業務を理解している人たちばかりで取り組んでこそ真価が発揮されるんだろう。グローバルスタンダードを遥に超えた地平で進化し続けている企業で適用できたからといって、これまで親方日の丸で過ごしてきた組織に短時間で導入できるとは限らない。個人の資質を超えて、組織の成熟度に良識をわきまえたオトナと幼稚園児ほどの差があるように感じる。結局、組織が大きいほど、しわ寄せを喰らう個人へのインパクトは大きく、非人道的な形で現れる。ある人にとっては、たくさんある資料の中の数字の一つ(あるいはその数字を構成するごく一部)でしかなくとも、ほかのある人にとっては全人格、全生活、全人生であったりする。

 あらゆることに「光と影」があるというのが、日頃から心がけている私自身のモノの見方の一つですが、この本は「影」を思い切り見せつけてくれました。地方新聞社の敏腕記者の手になる佳作でした。最近、30代のジャーナリストの切り込んだ書を見ることがポツポツあり、わが国も捨てたモンじゃないな、と感じています。

|

« 神様からひと言 | トップページ | 映画 父親たちの星条旗 »

「ニュース」カテゴリの記事

「心と体」カテゴリの記事

「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

「経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

「民ええか?」と問いが出ているのでしょうか?
お金さえあれば民営化は、サービス天国ですが、お金がなく使われる側は地獄ですなあ~

投稿: とんぼ | 2006.11.13 20:12

こういうのは、世論を利用した弱いものイジメかもしれません。「ゆうメイト」って年賀状配達の学生アルバイトのイメージ(ウチの弟も高校生のとき、テニスのラケットを買うためにやってましたが。)がありましたが、今では一家の生活を支えるべき人たちが従事しているケースの方が多いようです。

投稿: じんきち | 2006.11.13 23:47

ジュンク堂でみてみます。

投稿: Mizo | 2006.11.14 20:58

結構キツイ本ですよ。でも、これが現実。

投稿: 凡太郎 | 2006.11.14 23:36

読み始めましたが・・・・
我々は職員を自殺に追い込むために、郵政改革に賛意を表したのか・・・・
自分の馬鹿さ加減に呆れるしかありません。

投稿: Mizo | 2006.11.15 21:03

郵政改革自体が間違っていたワケではないでしょう。ただ、改革そのものが自己目的化した結果、目標として掲げられた数字が一人歩きし、非人間的な日常が展開されているのだと思います。民間であれば小回りが効くところが、レミングの行進よろしく行くところまで行ってしまうのでしょう。

投稿: 凡太郎 | 2006.11.16 00:12

今日も街頭で年賀状を売っている人々がいました。
この本のことを思い出しました。

投稿: Mizo | 2006.11.16 22:55

「3階息抜き部屋」拝見しました。お読みになられたようですね。

年賀状自体は楽しみな年中行事の一つではありますが、地球資源の無駄遣いの典型でもありますね。また、郵政公社のドル箱業務(ボロ儲け)でもあるわけで、一人30枚出すとして国民ひとりひとりが郵政公社に1,500円寄付しているようなもんですね。わが家など350枚くらい買っているので、17,500円。あとは、プリンタメーカーにインク代を寄付しています。個人的には年賀状を出すのをやめる予定はありませんが、毎年、少し首をかしげながら、せっせと刷りだしているのも事実です。

投稿: 凡太郎 | 2006.11.16 23:37

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/60334/12661976

この記事へのトラックバック一覧です: 民営化という名の労働破壊―現場で何が起きているか :

« 神様からひと言 | トップページ | 映画 父親たちの星条旗 »