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2007.01.08

硝子戸の中(うち)

410101015309_aa240_sclzzzzzzz_1 硝子戸の中(うち) 夏目漱石 新潮文庫 ¥300

 漱石、晩年の随想集。晩年とは言え、胃潰瘍をこじらせて亡くなったのが50歳なので、朝日新聞にこの連載をしたのは49歳になる。わずか1ヶ月あまりであるが、ほぼ毎日連載したことになる。

 漱石といえば、鴎外と並び明治の文豪の双璧とされるが、鴎外に比すれば軽妙洒脱な印象から親しみ安さを感じる向きも多かろうと思う。そんな漱石が、東京帝国大学教授の席を蹴って朝日新聞の専属作家になったものの、社内で疎んじられるようになった中での連載であるためか、半ば病気療養中であるためか、肩の力が一切抜け、欲も得もなくした、スゥ~と誰しものココロの中に自然に入り込んでくる文章が並ぶ。

 堅物ではないけれど、現代に生きる者の視点から観ればとても義理堅い人物像に写り、自身の幼少期の想い出、身辺雑記などが淡々と、またあるときは随分と事細かに語られる。そして、それらの全てが、何らかの演出や効果を狙ったものではなさそうであるところに、余計に好感をいだくことになる。

 死期を自覚していたのか、やたら「生と死」にまつわる話が多く、登場人物の多くが亡くなっているのも目を引く。しかも、その多くが19であるとか23であるとか当たり前のように早逝している。明治後期、大正時代といえば、都市部においては庶民の生活においても現代とそう変わらぬ体制、制度が出来上がっていたと思われるが、「人生の長さ」には随分と差とバラツキがあったようです。

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コメント

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投稿: Mizo | 2007.01.09 21:28

何でもいいけど漱石の作品を読みたくて明石のジュンク堂へ足を向けたのですが、その人となりを知るには小説よりエッセイの方が手っ取り早いと考えたわけで。「坊ちゃん」や「こころ」とは違う、素の漱石を見た思いがします。

投稿: 凡太郎 | 2007.01.10 01:27

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