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2007年2月

2007.02.26

構造改革の真実

453235248701_aa240_sclzzzzzzz_1 構造改革の真実 竹中平蔵 日本経済新聞出版社 ¥1,890

小泉政権の幕引とともに参議院議員を辞した著者による暴露本ならぬ回顧録。オビには竹中平蔵大臣日記とあります。著者の言によると、大臣に就任した際、それまで書いたこともない日記をつけることとしたとのこと。こういった出版を念頭に置いのことかどうか。いろいろ言われたけれど、アメリカ的なスタイルとの印象を受けますね。

  •  序章 改革の日々が始まった
  • 第1章 小泉内閣という”奇蹟”
  • 第2章 金融改革の真実 ”不良債権”という重荷
  • 第3章 郵政民営化の真実 改革本丸の攻防
  • 第4章 経済財政諮問会議の真実 政策プロセスはどう変わったか
  • 終章  日本経済二つの道

 ご覧のとおり、内容はとてもオーソドックスですが、よく見てみると「日記」のままではこのような構成は無理なはず。相当に「編集」したわけでしょうが、視点を変えればテーマごとにまとめてあるだけにずいぶん読みやすく感じました。ただし、この読みやすさは猪瀬直樹氏の著書に通ずる読みやすさではありますが。

 率直に言えば、臨場感、興奮度が伝わるものの、「自画自賛」が多く、少々批判的な目で眺めてしまいます。その一方、民間大臣として、政治家としての作法に慣れずに戸惑うあたりや、信頼はしても官僚をとことん信用しないスタンスなど、ホンネの部分も垣間見えます。

 期せずして同時期に飯島秘書官の回顧録も出版されましたが、こういった本を読むにつけ、書名同様にどこまで真実を語っているかはともかく、いかにマスコミが表面的でセンセーショナルなだけの報道しかしていないかを強く感じさせてくれます。

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2007.02.25

シングルモルトを愉しむ

433403172201_aa240_sclzzzzzzz_1 シングルモルトを愉しむ 土屋守 光文社新書 ¥998

ラフロイグ、ボウモア、マッカラン。シングルモルト好きでなくとも、ちょっと洒落たバーを覗いたことがある方ならご存知の銘柄。いずれも英国のシングルモルトで、日本ではサントリーが扱っています。ボウモアに至っては、サントリーが蒸留所まで買収してしまったらしい。サントリーはほかにも何箇所かMAをかけたようで、ニッカ所有のものもある模様。

 バランタインとかジョニーウォーカーといった有名なスコッチは、ブレンデッド・ウイスキーと呼ばれ、十数種から数十種類のモルトと数種類のグレーン(穀物由来の原酒)が混ぜてあるとのこと。もちろん、個性的ではあるものの飲みやすく、安定した量を流通に載せることができ、また、品質の安定化を図り、商業ベースにもっていくためには欠かせない手段でもあるのでしょう。

 日本でも、サントリーで最上級といわれる「響」はブレンデッドで、一方の「山崎」はシングルモルト。ニッカのシングルモルトは、創業者の名を冠した「竹鶴」に創業地に由来する「余市」など。

 数年前に学生時代のボランティアサークルの後輩に連れていってもらった三宮のシングルモルト専門のショットバーで、同書の著者の手になる「モルトウィスキー大全」なる本をマスターに見せてもらったことがあった。そのときは、アイラ島の個性的な「アードベッグ」のことを「段ボールの味がするウイスキー」などと言いながら愉しんだ。実際、このような言い回しをすることがあるらしい。ヨーチンみたいな味、匂いなんて言い方も。後年、ロンドンのバーで「アードベッグ」をオーダーしたけれど、若い店員はよくわからなかったみたいだった。イングランドでは、スコッチといってもブレンド銘柄が数種置いてある程度らしい。ちょっと気の利いた酒を注文しないといかん、と気負った自分を滑稽に感じた。

 新書の割に少し割高なのは、カラーページがあるため。鮮やかな「シングルモルト・ボトルガイド」が綴りこまれています。こうして本から入るのは、「頭でっかち」かもしれないが、私にとっては子供の頃からのアプローチ。こうして良書に出会うこともあるのだから、これはこれで大事にしたいと思う。

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昨夜のローレライ

テレビ放映されていた「ローレライ」。劇場で観た上に、DVDも本編がUMA(PSPで観ることができるメディア)に収まったおまけがついたバージョンを購入するほどのめりこんだ。福井晴敏の長編は全て読んでいるので、原作も読了済み。地上波初登場とのことだったが、視聴率はどうだったんだろうか。なぁんて言っている自分自身、10時まではNHKの「ハゲタカ」を観ていたんですが。Ro_01 今夜は「スイングガールズ」を放映しているし、最近、邦画が元気だそうですね。このスイングガールズ、家内の出身高校(兵庫立高砂高校)のクラブがモデルだそうですが、家内自身は見ずに寝てしまいました。もっとも映画の設定では、東北地方の高校に舞台を移されてしまっていましたが。Ro_02

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2007.02.19

就寝前の現状報告

Dsc00205  目下、こんな状況です。いずれも日本製のシングルモルト・ウイスキーの180ml瓶。

 コンビニで白州(サントリー)を購入したことがきっかけで、山崎(サントリー)、余市(ニッカ)と相次ぎ購入。残念ながらまだ違いもよくわかっていませんし、薀蓄を語るほどの余裕も無いのですが、ストレートでも意外に飲みやすいことを知り、ちびちびと、ホンマにちびちびとやってます。グラスは山崎についていたオマケ。

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2007.02.18

コンピテンシー活用の実際

コンピテンシー活用の実際 相原孝夫 日経文庫 ¥903

 著者は、マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティングの副社長。類書が並ぶ中から本書を手に取ったのは、入門書でありながら、実践的なまとめ方がされているところもあったところ。「ここをはずすな」というところを、その空気感を含めて伝えることは難しいものですが、この書では成功しているように感じます。ことに、「コンピテンシー」といった、そのコンセプトや実践を簡単には伝えがたいモノが対象の場合はなおさらでしょう。

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範馬刃牙 6

425320988201_aa240_sclzzzzzzz_v45299937_ 範馬刃牙 6  板垣恵介 少年チャンピオン・コミックス ¥420

 新シリーズになり多少の趣向は変わっても、面白さはあいも変わらぬものがあるものの、このないともゆったりした展開や大きな(大げさな)コマ割りはなんとかならぬものか。かつて松本零士に傾倒していた頃にも感じたのですが、作家が大物になってくると忙しさもあってか、キレイで華麗だが、冗長で冗漫なコマ割が目だち、「テンポ」がまるで感じられなくなるのが歯がゆく感じられます。いろいろな見方があるようですが、こういった点では手塚治虫という人は真に偉大だったんでしょうね。

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官のシステム

413034234701_aa240_sclzzzzzzz_1 官のシステム 大森彌 東京大学出版会 ¥2,730

 国家公務員=官と解して、そのシステムを暗黙知、インフォーマルな作法、慣行を踏まえて、文字に起こしていく。ある意味で滑稽に受け止められかねない工程を丹念に積み重ねて、その実像に迫っていく。中には、戦前、戦中のホンネ発言を拾ったり、森村誠一の短編小説にその生態の描写を見出したりされており、その守備範囲の広さと懐の深さは驚かされるばかりです。

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2007.02.12

白州10年

Shj1d1 サントリーウイスキー 白州10年  コンビニでベビーボトル(180ml)なるサイズのものを購入。12年、18年ものがあるそうですが、南アルプスの天然水仕込みのすっきりしたシングルモルト。裏書には「最初の一杯は、ぜひストレートで」とありましたが、ロックにしてしまいました。軽く一杯ずつなら、このサイズでも一週間は楽しめそう。1本1,100円ですが十分にハイ・コストパフォーマンスです。

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こころ

410101013709_aa240_sclzzzzzzz_1 こころ 夏目漱石 新潮文庫 ¥380

 鴎外と双璧をなす明治の文豪である漱石の最高傑作との呼び声の高い秀作です。「坂の上の雲」と並び、読んで満足した日本文学作品といった類のアンケートではいつも1,2位に上る作品です。

 生きること、生きることの覚悟、生きづらさを感じる人がいつの時代にもいることなどなど。庶民にとっては、所詮は高等遊民たちの贅沢な悩みとも思えますが、その結論はどうあれ、悩むこと自体に値打ちがあるようにも感じます。

 一方、最近読んだ本にあからさまに書かれていたことですが、文学の技術的な進歩というものは凄まじいものがあり、現代において漱石が何らかの文学賞に新人として応募しても受賞は難しいであろう、という現実。確かに、現在の読み手の目から眺めると、「こころ」であっても生硬というか垢抜けないように感じる記述が目につきます。しかしながら、だからといって明治の文学の偉大さが損なわれるというものではないことは、誰しもが認めることでありましょう。歴史は積み重ねられていくものであることが、こういった文学作品の読み比べからも十分に感じ取れます。一方、「ソクラテスの弁明」などは、二千年以上の時を超えて、高度に社会的、観念的な思想が市民社会に浸透していたことを教えてくれて、逆説的に人類が進歩していないことも伝えてくれるように感じます。

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メンタリング入門

453211093901_aa240_sclzzzzzzz_1 メンタリング入門 渡辺美枝子 平田史昭和 日経文庫 ¥872

 さらりと書かれている本ですが、アマゾンの書評をみるとずいぶん含蓄のある書のようです。パラパラと飛ばし読みしてしまいましたので、改めて通勤途上で読み直してみようと考えています。リーダーシップ論、コーチング論など似て非なる理論がある中、面倒見のよい先輩と(制度上の)メンターの違いといった理論的な整理から、アサイン方式、ドラフト方式それぞれのメリデメなど実践的な記述まで。

 これまでは、もっぱら個人的な興味だけでこの手の書を手に取ってきたわけですが、なにやら今後はそうとだけも言っておれない雲行きになってきました。

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生き方

476319543309_bo2204203200_pisitbdp500arr 生き方 稲盛和夫 サンマーク出版 ¥1,785

 考えさせられることばかりです。わが身を振り返るに、このところ「感謝する気持ち」のレベルが極端に下がっていることを大いに反省しています。情けないのは、この反省の気持ちをすぐに忘れてしまうことです。

 こういった本を手に取るということ自体、迷いを感じていることの表れなのですが。

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「法令遵守」が日本を滅ぼす

410610197101_aa240_sclzzzzzzz_1 「法令遵守」が日本を滅ぼす 郷原信郎 新潮新書 ¥714

 一見すると、悪徳、背徳の勧めのように受け止められますが、著者は東京地検特捜部勤務も経験した元検事の大学院教授。もちろん、違法行為を奨励しているわけではなく、臭いものにはフタをしろ式の現場をがんじがらめにする「いわゆるコンプライアンス」対応が、本質的な問題を水面下に潜らせ、枝葉末節にこだわる企業風土を作り上げてしまうことに警鐘を鳴らしています。

 談合の効能を説くなど、一見、暴論とも取れる箇所も多々でてきますが、現実、現場を無視して机上の「正論」を振りかざすヒステリックな「官製」マスコミの振る舞いへの批判などを積み重ね、「フルセット・コンプライアンス」という新たなコンセプトを提唱されています。

 本流の考え方ではないのでしょうが、世間の大合唱に付和雷同することなく、自分のアタマで考えることの大切さを教えてもらえます。

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2007.02.04

人生は負けたほうが勝っている

434498023901_aa240_sclzzzzzzz_v45301585_ 人生は負けたほうが勝っている 山崎武也 幻冬舎文庫 ¥756

 副題には「格差社会をスマートに生きる処世術」とあります。著者は東大出身のビジネス・コンサルタントですが、一見するといわゆる脱力系のコラム風の人生訓が続きます。雑誌か何かの連載を再編集したものなのかもしれません。

 たとえば・・・。

  • 今まで生きているだけでも、勝っている証拠
  • チャレンジしながら給料までもらえる
  • 手柄を横取りする上司は、馬鹿を公表している
  • 他人の好みにはポジティブに、しかし小さく反応する
  • ・・・・・・

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闇金ウシジマくん 7

409181060801_aa204_sclzzzzzzz_v47020688_ 闇金ウシジマくん7 真鍋昌平 小学館 ¥530

 どうやら6巻を飛ばしてしまったようですが、土曜の夜、出張帰りの乗換駅となる新大阪の構内書店で購入。あいかわらずエグイ。はめられて臓器売買のために中国へ飛ばされる男と、沖縄の裏風俗へ売り飛ばされる恋人。恋人同士がお互いを救うためと闇金に諭され、それに従う二人。もちろん、単に騙されているだけなのですが。O・ヘンリーの「賢者の贈り物」ならぬ、愚者同士の悲劇です。巻後半からは、35歳のパラサイト・ニート一家の崩壊が始まっています。

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天国は待ってくれる

434401265801_aa240_sclzzzzzzz_1 天国は待ってくれる 岡田惠和 幻冬舎 ¥1,260

 映画化され近々封切になるそうですが、ファッション系かギャル系、あるいはサッカー系の雑誌しか買ってこない長女が珍しく買ってきた本を盗み読みしてしまいました。もっとも、この間読んでいた本がホストに恋した高校生の話(これはこれで深いものがあるのかもしれませんが。)だったので、そのセンを想像していたのですがこちらはずいぶんと純情路線でした。)人気脚本家の手になるはじめての小説とのことですが、160ページほどなので、日曜日の夕方、NHKのオヤジバンドコンテストを見ながら読んでしまいました。

 十代、もしくは未婚の二十代向けでしょうね。

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