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2007.07.01

郵政改革の原点

0279934100001 郵政改革の原点 「財界」編集部・編 財界研究所 ¥1,575

副題に「生田正治・日本郵政公社初代総裁 四年間の軌跡」とあるが、巧妙に企画編集された書である。一見すると、公社化されてからこの3年末までの4年間を初代総裁として務めた生田正治氏の回顧録と捉えられそうになるが、どこにもそのようなことは書いていない。

350ページを超える厚い書だが、その構成は郵政公社職員向け(一応は国民向けということにもなっているが、書きぶりは明らかに職員向けである。)にしたためられた「真っ向勝負日記」なるものを主体に、就任時、退任時の全職員向けe-mailと「財界」掲載のインタビュー、記者会見の模様を、時系列に織り交ぜたものとなっている。そもそもページの大半を為す「真っ向勝負日記」なるものも実際には誰が書いたものなのかわかったものではない。その辺りを踏まえ割り引いて、少し距離を置いて務めて客観的あるいはむしろ批判的に眺めれば、興味深い書となろう。

「真っ向勝負日記」は平易な文体で語りかける諭すような言い回しなのでとても読みやすいが、その趣旨からも国民を納得させるようなマクロな視点で書かれたものではない。多少なりとも読み応えがあるのは、決算説明時の記者会見をまとまた箇所や財界インタビューの箇所に限られる。そして「民業圧迫」なる批判への反論が後段随所に見られるが、繰り返し出てくるだけに辟易してしまう。

例えば、ゆうパックなる小包が宅急便を始めとする宅配便に押されて、事業庁最終事業年度には市場シェアが5.7%まで下落したことに危機感を募らせ10%まで引き上げるべく、ローソン、ナショナルブランドの百貨店等に食い込み、前年度は8%台まで引き上げたという。が、ムリをしてシェアを引き上げることなどないのではないか。ここまでシェアが下がったということは、市場から「必要ないサービス」と認識されていると考え全面撤退すべきではないのか?郵便(信書)事業の損失補填、あるいは固定費、共通費負担の賄い口としての位置づけの匂いが漂っている。

いよいよ今年の10月から民営化される郵政事業だが、最後の半年間は日本郵政株式会社社長の西川氏が公社の総裁を兼務している。これも生田氏が辞意を表したものではなく、政府からの要請によるものだという。肝臓ガンを患った老身を抱えて初代総裁就任を固辞し続けたにも拘らず、挙句に小泉前首相直々に総裁就任を強要し、そして最後には本人の意向に依らずに辞任させたこととなる。生田氏自身、狂言回しの役どころを負わされたのだろうか。

今秋、320兆円が野に放たれる。その衝撃はいかばかりか。

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