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2008年3月

2008.03.30

はじめての課長の教科書

41jvvmkqvsl_bo2204203200_pisitbdp50 はじめての課長の教科書 酒井穣 Discover ¥1,575

今月初、Amazonで1位の売れ行きだそうで、他所でもずいぶんと評判の書。何かの経済雑誌で書評を読んだような気がしますが、ありそうでなかった類の本だそう。(ありそうな気もしますが。)

著者は在オランダ(!)の方ですが、内容は実にオーソドックスでありながら、所々に正論を退ける形で「ホンネ」が曝け出され、説得力を生んでいます。課長に焦点を当てているものの、課長に限らず「部下」を持つ全ての方にとって有用な書となっています。

課長が学んでおくべき

  • 8つのスキル
  • 3つのゲーム
  • 9つの問題解決
  • 8つのキャリア戦略

             ・・・・・別にこれらの数字自体に意味があるわけではないでしょう。

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マックス・ウェーバー入門

41bcpwfm2zl_aa240_1 マックス・ウェーバー入門 牧野雅彦 平凡社新書 ¥777

ひと昔前の少し気の利いた日本人なら誰もがその著作のひとつくらいは読んだ経験がある著名人、思想家の一人であるウェーバー。日頃から教養の浅さを痛感している身ゆえ、図書館の書棚にあった本書に手が伸びた次第。資本主義、倫理、官僚制度、プロテスタンシズムといった断片的な単語でしかウェーバーを認知していなかっただけに、アジアへの造詣、古代へと遡る歴史観などを知り、経済学、政治学、あるいは社会学といった現代の枠組の中でものごとを整理しようとしがちな己を省みるよい機会となりました。

まだまだわかっていないこと、わかったつもりのことが多い。

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さらば財務省!

51rqk3iuaml_aa240_1 さらば財務省! 髙橋洋一  講談社 ¥1,785

副題に「官僚すべてを敵にした男の告白」とあります。竹中大臣を支えた一人の官僚から見たインサイドストーリー。傷んだ組織、仕組とその組織がもてあましてしまった数学の素養と才能。まさに凡人には感じえない世界、視点が追体験できるわけですが、一方でそういった「国」に暮らしているのは、誰にとっても実体験なわけで、読後、薄ら寒い思いを感じます。

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2008.03.23

雇用、利子および貨幣の一般理論(上)

雇用、利子および貨幣の一般理論(上) ケインズ 岩波文庫 ¥945

間宮陽介氏による新訳。この手の書としては異例の売れ行きとして評判になっているとのこと。新訳のおけげで読みやすくなっている点に加え、若かりしころのノスタルジーとして手に取る向きが多いのでは。かくいう私もその一人です。

私が学生であった20年以上前といえば、マクロ経済学といえばそのまんまケインズを指すことさえあったり(ホントはフリードマンやガルブレイスも随分めから活躍されていたりしていたのですが。)、するぐらい絶対視されていた巨人との印象が強く残っています。日経にもケインジアンかマネタリストか、なんて論争が載っていたような時代です。そんな中においてさえ、一般理論を読んだことがない学生であったわけで、若い頃のやり残した多くの宿題の一つを半分だけ終えた気分です。

読後感:ケインズは経済学は現実に即していなければ、その存在意義あるいは存在価値など無いに等しいと考えていたように感じます。ようやく下巻も出たみたいです。

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2008.03.21

シュンペーター

シュンペーター 伊東光晴・根井雅弘 岩波新書 ¥777

副題は「孤高の経済学者」。シュンペーターとケインズは同じ1883年生まれ。奇しくもカール・マルクスの没年でもあるそうです。今、ベストセラーになりつつあるケインズの新訳「一般理論」の上巻を読んでいるところなのですが、シュンペーターとケインズの関係は、緊張感を伴う屈折した思いを伴うものであったそうです。

オーストリア生まれ。25歳にして名著であり大著たる「理論経済学の本質と主要内容」をものし、その4年後に決定打たる「経済発展の理論」を著しました。シュンペーター自身、「みのり多き20代」と称したそうで、弱冠28歳でグラーツ大学の政治経済学教授に任命されたというから、まさに早熟の天才です。ちなみにその前にチェルノヴィッツ大学の院外教授に任命された時期もあったというから驚き。その後、36歳にしてオーストリアが共和制に移行した折、初代の大蔵大臣に就任するも、嵌められる形で地位を追われます。

最初の妻とは離縁、二度目は死産死別、三度目にして安逸を得るといった明るい性格を一変させてしまうような苦渋を味わうこととなるプライベート。

「新結合」といった現代の起業家、技術革新に繋がる概念、独自の「帝国主義論」などその「総合的」、「大統一理論」的な巨視的な視点は、時論を超えた壮大さを感じさせてくれます。経済学、社会学におけるビッグ・ネームが次々に登場する歴史劇場を眺めるような一冊です。 

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2008.03.20

ルポ 貧困大国アメリカ

3115lhwokql_aa240_1 ルポ 貧困大国アメリカ  堤未果 岩波新書 ¥735

オビには「教育、医療、戦争まで・・・ 極端な民営化の果ては? 米国の後を追う日本へ海の向こうから携行する!」とあります。章立ては以下のとおりですが、詠み進むほどに「アメリカはここまで病んでいるのか。庶民にとって、ましてや移民にとっては、生涯続く安寧な暮らしなど望むべくもないのか。」と暗澹たる想いに囚われる。本書が語るような民営化そのものが必ずしも「悪」ということはないのであろうと思うものの、何ごとにも光と影がともなうこと、そして資本主義社会には商道徳、職業倫理が欠かせないことや、株式会社という仕組みそのものの本質的な危険性とCSRの重要性が改めて思い起こされる。

  1. 貧困が生み出す肥満国民
  2. 民営化による国内難民と自由化による経済難民
  3. 一度の病気で貧困層に転落する人々
  4. 出口をふさがれる若者たち
  5. 世界中のワーキングプアが支える「民営化された戦争」

新刊書であるにもかかわらず、Amazonの書評の数が際立っていること、雑誌等の引用(今週号「道路の暴走」でも別の特集としての「紛争バブル」で取り上げられている。)などから、その衝撃度がうかがえる。

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巨星、墜つ

かつてビッグ・スリーと呼ばれた最後の一人であるアーサー・C・クラークが亡くなった。まさにSFにおけるひとつの時代が終焉したのであろう。

個人的にはビッグ・スリーの中ではアシモフ派(と言っても中学生のころ、銀河帝国の興亡シリーズを読んだだけですが。)の私ではありますが、同じく中学生の頃に同級生たちとリバイバル上映されていた「2001年宇宙の旅」を観にいったときは衝撃的だった。難解な映画であり子供には理解不能であろうとの触れ込みにたじろぎながら、映画館に向かったことを思い出す。「ツァラトウストラはかく語りき」が流れる中、有名なオープニングシーンが現れる。宇宙ステーションの管制窓の中の人影やシャトルの優雅な動きなど、当時としての標準を超越した映像クオリティ。そして「美しき青きドナウ」。うっとりとするひととき。その後、ハイスピードで展開される原色ばかりの映像が繰り返され、スターチャイルド、モノリス(?)へ繋がる下り。このあたりの抽象的、観念的な表現が、「子供には・・・」なんて言い回しになったのだと感じる。映画館を出た後、「ようわからんかった。」「なんじゃ、ありゃ。」なんて言い交わしながら歩き始めた際、わかったようなつもりでいた私も、「もっと深い意味があるのかも。」なんて不安に感じていたことが思い起こされる。

その後、小説も読み、活字を映像化する際の手法次第では、ああいった形になることを知る。

さらにその後、ガンダムの中で「ニュータイプ」なる概念が示された際、「あぁ、スターチャイルドのことか。」と感じたが、同じ想いをもたれた向きも多かろうと思う。

ご冥福をお祈りします。

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2008.03.16

未来世界へようこそ

51qdsybwdnl_aa240_1 未来世界へようこそ(SFセレクション7) 赤木かん子編 ポプラ社 ¥1,050

少年少女向けのSF短編集の1冊です。明石市立西図書館で借りてきました。「はじめに」で編者の赤木さんが、下記のようなことを述べられています。

今、ファンタジーを読むのは別に特殊なことではありません。が、1960年代、SFもそういう人気の文学ジャンルのひとつでした。本の好きな人ならだれだってアシモフやブラッドベリをひとつやふたつ、読んでいるのはあたりまえのことだったのです。けれどもやがて、SFは活字の世界から日本ではアニメとコミックと映画に(アトムもガンダムもウルトラマンもSFです)アメリカでは映画に(スター・ウォーズもターミネーターもSFです)舞台を変えました。ですから今、十代、二十代の方は、ほとんど活字のSFは読んでいらっしゃらないだろうと思います。(後略)

・・・そうだったんですね。私は、現在ではSFが広く認知され市民権を得たと理解していたのですが、実際には少なくとも活字の世界では拡散というか散漫な状態に陥っていたようです。

  1. 地球からの手紙:井本由紀(小学6年生時の作品)
  2. お召し:小松左京
  3. むぎひとつぶ:さねとうあきら
  4. 武器なき世界:カート・ボネガット
  5. ウァヴェリ地球を征服す:フレドリック・ブラウン

 とりわけ「武器なき世界」は、小学校5,6年生の時に図書室で借りて読んだ「時間と空間の冒険」に収めていられた作品の一つだそうで、とても懐かしく感じました。「人工宇宙の恐怖」はどうなったんだろうか。

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戦車模型超級技術指南

51echb78bkl_aa240_1 戦車模型超級技術指南「塗装編」 高石誠 大日本絵画 ¥3,150

高石”師範”の手になる超絶技巧のオンパレード。絶対にAMで一度はお目にかかっている記事の再編集なんですが、大型書店で探し出してでもスグに手に入れようとするモデラーの性。超級技術なんですが、師範が本当に凄いところは、そこへ至るロジックの組立ての思考プロセスなんですね。

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現代の帝国主義国家たる中国

ラサでの暴動に関して、中国政府がダライ・ラマ14世を非難しているそうだが、お門違いも甚だしい。チベットを勝手に占領して、チベット族にとっての聖地を漢民族の低俗な観光地化した侵略国家こそ退場すべきであろう。温度差はあるものの、EU各国は中国政府を非難するか、冷静な対応を促しており、少なくとも擁護する姿勢を見せている国家、元首は無いのではないか。

大気汚染、食の安全の欠如、そして今回の他国への侵略、少数民族への圧政と人権侵害。選手個人の意思による五輪不参加宣言が相次ぐ中、国家レベルでの北京五輪ボイコットも出てくるかも知れないとの予感が脳裏をよぎる。WWII前夜のナチスのプロパガンダに利用されたとしか言いようがないベルリン・オリンピックとダブる今回の北京オリンピック。21世紀唯一の軍事的帝国主義国家の国威発揚五輪はいただけない。

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映画 ジャンパー

Banner_jumper1 ジャンパー

先週末のレイト・ショーワーナー・マイカル明石で鑑賞。ひょっとすると今年初めての劇場での映画鑑賞かもしれません。

妄想好きにとっては、「時空を超える」、「透明人間になる」、「人のココロを思い通りに操る」というのは、叶わぬユメとは知りつつも憧れて止まない「三大願望」と言えるでしょう。”ジャンパー”は、このうち「時空超越」の半分を叶えることができた主人公たちの苦悩と闘いがテーマ。原作はアメリカのヤング・アダルト向けSFとのことですが、筒井大先生の傑作「時をかける少女」がジュヴナイルものであったことと考えあわせると、洋の東西を問わず、時&空は少年少女を惹きつける二大テーマであることが窺えます。また、「宇宙」の宇は空間を示し、宙は時間を表すと聞いたことがあります。

「ボーン・・・」3部作をものしたダグ・リーマン監督が取り組んだ本作ですが、ヒットすれば3部作になることが予定されているとか。それを反映してか、あからさまに次回作へ続くような終わり方となっています。

とにもかくにも想像力をかきたてられ、さらには圧倒的なスピード感で楽しませてくれる一方、特殊能力者の苦悩と窮屈さ、不条理な闘いといった暗黒面が深みを加えている作品です。

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「ニッポン社会」入門

4192t00apsl_aa240_1 「ニッポン社会」入門 コリン・ジョイス 生活人文庫 ¥735

副題に「英国人記者の抱腹レポート」とありますが、著者は、オックスフォード大学を卒業後、92年に来日し、神戸で日本語を学んだ後に高校の英語教師、「ニューズウィーク日本版」勤務を経て、英国の高級紙「デイリー・テレグラフ」の記者となったとのこと。現在はフリージャーナリスト。

外国人の目から見たニッポンをテーマにした書は、古くはフロイス辺りまで遡ることができるのでしょうが、いずれもとても興味深く読むことができます。本書は、少し斜に構えたような表現(これをユーモアと呼ぶそうですが。)が時折入ったりするものの、単なる日本礼賛に堕すことなく、それでいてこの手の書によくある日本人にとって少々鼻がくすぐったくなる箇所も多く見られます。そういったところは素直に受け止めて構わないのでしょうが。ただ、とても気になるのが著者が誉めてくれている日本と日本人の美点の多くが、年々無くなりつつあるものばかりであるような気がしてならないことでしょう。日本駐在記者としての悲哀や、イギリス、ロンドンの紹介、日英生活文化比較評論のような下りもあり、様々な視点から楽しませてくれます。

最初は立ち読みで済ませるつもりが、つい買ってしまった、というくらいに引き込まれた1冊でありました。

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2008.03.15

港区ではベンツがカローラの6倍売れている

416ibuhpo1l_aa240_1 港区ではベンツがカローラの6倍売れている 清水草一 扶桑社新書 ¥756

 副題は「データで語る格差社会」。著者の専門はクルマだそうですが(愛車はフェラーリ)、そこにとどまらず豪邸、クルーザー、別荘、クレジットカード・・・と格差の切り口を「面白ネタ」的に求めながら楽しませてくれます。バブルの頃、BMWの3シリーズが「六本木カローラ」なぞと呼ばれていたそうですが、そういった傾向は加速しながらいまだに続いているようです。13年落ちのカローラワゴンに結構満足しながら乗り続けており、今度買い換える際にもカローラ・フィールダーがいいなぁ、なぞと想いを巡らしている身にはクルマの下りは少々苦々しく感じたりしたものの、六麓荘から芦屋vs尼崎、阪急沿線vs阪神沿線に至る地域格差の下りはローカル感満載でとても満足。最終章の富山県人気質ももう一つの日本を教えてもらったようで新鮮でした。

 軽く読める割に、現代ニッポンをその地域特性を含めてイロイロと覗きこめたのは紙上社会勉強といった趣で思わぬ深みを感じた次第です。

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小松左京自伝

51q2bcwpwx7l_aa240_1 小松左京自伝  小松左京 日本経済新聞出版社 ¥2,625

副題に「実存を求めて」とあります。偏見かもしれませんが、こういったフレーズは戦前、戦中派といった、価値観の転換を迫られた世代に特徴的な気がします。現代の若者なら、同じような彷徨いがあったとしても、「自分探し」なんて言い回しになるのでしょう。

本書は二部構成となっており、第Ⅰ部が日経の「私の履歴書」を再編集した著者の自叙伝であり、第Ⅱ部が「自作を語る」として小松左京マガジンでの記事等を下敷に構成されています。著者は言うまでもなく、黎明期から日本SF界の巨人として、その発想、構想のスケールの大きさでジャンルを超越した雄大さを世間に発信してこられました。

個人的には、筒井康隆さんのファンであっただけに、きっかけこそ「日本SFベスト集成」で接した小松作品でしたが、「復活の日」や「日本アパッチ族」など文庫を買って読んだものもそこそこあったと思います。というのも、作品年譜を眺めたところ、まったく聞いたことがないという作品があまりなかったことでも裏付けられたように感じたためです。映画でも、新旧の「日本沈没(この作品はTVドラマもありましたが)」、「エスパイ」、「さよならジュピター」、「復活の日」など思い出深いものばかりです。また、TVドラマの「終わりなき負債」、30年ほど前のNHKの土曜日の単発ものであったように記憶していますが、主演の谷隼人が苦労に苦労を重ねた挙句に(完済したかどうかもはっきり憶えていないのですが)、切断された頭部だけで自嘲気味に高笑いするラストシーンが強烈に脳裏にこびりついています。「地には平和を」は古い作品ですが、時代を先取りした一種の仮想戦記とも言える設定で、「震電」の飛翔シーンを読んだ最初の小説でもありました。

・・・等々、想い出が尽きない中身に感謝。

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2008.03.09

公会計改革

41r57vr52bol_aa240_1 公会計改革 公会計改革制度研究会 日本経済新聞出版社 ¥1,890

 副題に「ディスクロージャーが『見える行政』をつくる」とあります。折りしもいわゆる地方財政健全化法が成立し、ますます日本中の自治体にとってその財務書類とディスクロージャー が重要になってきました。本書は日本の公会計に関わるビッグ・ネームが各章を担当し、公会計の今とこれからを熱くあるいはクールにわかりやすく解説してくれています。最終章には、「改革に取り組む地方自治体」と題して、大小さまざまな規模の先進自治体の事例が、首長メッセージを含め各1ページで紹介されています。まさにハイ・コスト・パフォーマンスの1冊です。

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2008.03.02

物語 現代経済学

31tdk4en5kl_aa240_1 物語 現代経済学―多様な経済思想の世界へ  根井雅弘 中公新書 ¥777

 中公新書の「物語」路線の一冊。レーニンの「帝国主義論」を読んでから、思い出したように経済学に魅かれて購入。大学入学時に購入したサムエルソンの「経済学」(もちろん都留重人さんの手になる邦訳版です。)が、どうやら単著としての最後の版らしいことを知り、改めて時の移ろいを感じた次第。

 ノーベル経済学賞がホントはノーベル賞ではないこと、ガルブレイスへの世評など、興味深い内容、エピソードが続きます。

(Amazonより)

>出版社/著者からの内容紹介
アメリカ型の経済学教育の導入により、経済学の一元化が進み、自由な思考にとって最も貴重な多様性が失われている。本書は、主流派が真剣に読まなくなった、マーシャル、ケインズ、サムエルソン、ガルブレイスらの経済学を再検討し、今日的視点から彼らの問題意識や問いかけの持つ意味を考察するものである。異端派を排除してきた「ノーベル経済学賞」の問題点をも指摘しつつ、相対化を忘却した現代の経済学に警鐘を鳴らす。

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帝国主義論

41z9exeed1l_aa240_1 帝国主義論 レーニン 光文社古典新訳文庫 ¥600

 およそ100年前に書かれたとはとても思えない内容に驚き。金融資本の支配が、資本主義を帝国主義へ駆り立て、帝国主義国家同士で最終的な争いへ誘う・・・。ところが、現実には、金融資本が世界を支配する前に、共産主義が実質的に崩壊してしまった。でも、ひょっとして二段底があるのでは、とさえ思わせるような金融資本によるグローバル化が現実のものになっているのも現実。敢えて21世紀にコミュニストの教科書を読む意義の有無は人により大きく意見が割れるところでしょうが。

新訳でとても読みやすくなっています。

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