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2008.04.20

高い城の男

695546020ea0be200ff56110_aa180_l1 高い城の男 フィリップ・K・ディック ハヤカワ文庫 ¥798

「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」に続きディックの長編。かつてヒューゴー賞の長編部門を受賞しただけに、丁寧に練られた秀逸な作品です。ブレードランナーの影響もあって、知名度から言えば「アンドロイド・・・」に譲るものの、米国ではディックの第一位作品に推す人が多いとも。

WWIIで枢軸国側が勝利し、北米大陸の西側を日本が、東側をドイツが統治する世界が舞台。架空戦記と異なり、戦闘シーンはありません。日本が分割統治された世界を舞台にした小説は古くからありますが、本書のような枢軸国が勝利した世界を描くSFは、それだけで一ジャンルを形成していたかと記憶しています。ジャンルの通称は失念してしまいましたが。

少し視点が異なりますが、日本でも蒙古帝国が全世界を支配する未来世界を描いた豊田有恒の「モンゴルの残光」や核戦争後の米国の治安維持のために赴く自衛隊を描いた矢野徹の「地球0年」、あるいは村上龍の連作「5分後の世界」、「ヒュウガウイルス」など、本格戦闘とは別の意味のパラレルワールドを描いた秀作が多くありますが、架空戦記よりはそのような作品群に近いもの、あるいはより一層落ち着いた環境を描いていると感じます。

表紙にはナチスの鉤十字と象徴のワシの徽章が描かれていますが、主な舞台は日本が支配する西海岸側。ちょっとした事件も起こるものの、占領国の被占領民、ここでは白人男性、の日常が主に描かれます。屈折と懊悩の心理描写。日本人にとっては、受け止め方は複雑なものになろうと思います。

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