« 公務員の異常な世界 | トップページ | 大久保町の決闘 »

2008.04.06

会計不正

51zqccghlal_sl500_aa240_1 会計不正 浜田康 日本経済新聞出版社 ¥2,520

著者の前著「不正を許さない監査」が出たのが2002年。当時は、エンロンの破綻とアーサー・アンダーセンの消滅といった海の向こうの動乱を客観的に眺めるといった一種の「余裕」があった日本における会計、監査実務の世界でした。当時と現在の間には、カネボウの粉飾と破綻、同社を会計監査していた中央青山監査法人の消滅を始めとする多くの粉飾事案、企業破綻が日本国内で相次いだ現実が横たわっています。

前著はオーソドックスな理論の解説とそれをベースにした著者の私見、私案の披瀝であり、それはそれで読み応えが十分にあったのですが、本書は前著に比してはるかに「凄み」が感じられます。その裏づけが、上記のような日本国内における現実の出来にあるのでしょうが、著者自身が事件当時、中央青山監査法人に籍を置いていた(現在はあずさ監査法人の代表社員)リアリティに根ざすものであろうと感じます。「凄み」は、被監査先と監査人との関係や、複数挙げられている典型的な監査人の思考パターンの再構築における深い洞察の記述に如実に現れていると感じました。ここまで丁寧な描写を活字で見たことが無かっただけに、少なからぬ感動もありました。また、昨今話題の内部統制に関しても、他書とは背景の思考における掘り下げの「格」の違いを感じた次第です。

<章立て>

  1. 会社に何が起きているのか
  2. 経営者はなぜ不正会計をするのか
  3. 企業の社会的責任は存在するのか
  4. 監査人は何をしているのか
  5. 監査人はなぜ不正会計を見逃すのか
  6. 統制環境をどのように考えるべきか
  7. 不正を許さないシステム
  8. 監査人は会計不正にどう対応すべきか

 章立てはオーソドックスなタイトルが並んでいますが、それぞれにおける「掘り下げ」、「洞察」に(繰り返しになりますが)「凄み」があります。

|

« 公務員の異常な世界 | トップページ | 大久保町の決闘 »

「ニュース」カテゴリの記事

「学問・資格」カテゴリの記事

「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

「経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/60334/40790747

この記事へのトラックバック一覧です: 会計不正:

« 公務員の異常な世界 | トップページ | 大久保町の決闘 »