司法に経済犯罪は裁けるか
司法に経済犯罪は裁けるか 細野祐二 講談社 ¥1,680
期せずして講談社の本が続く。細野氏の手になる第三弾。経済犯罪の証拠が財務諸表に存するとの見解は、当たり前過ぎるものの、目から鱗が落ちることも確かである。しかし、一方で財務諸表分析が経済犯罪で軽視され、従来型の捜査手法が踏襲され、あるいは枝葉末節な経理処理に焦点が当てられるなど、いちいち頷くことが多かった。冤罪と裁判員制度にも言は及び、その示唆するものに含蓄を感ずることもしばしばであった。地域により開きがあるものの、現実に裁判員に選任される確率は相当に低いことから「十一人の怒れる男(女?)」になることは、いち国民としては殆ど期待されるところではないものの、絶対数では確実に多くの方が体験することとなる世界。それは、全国民の誰にとっても意外にすぐ隣にあるのかもしれない。その心構えを実体験に即して投げかけてくれる一冊といえるかもしれない。
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