真剣 中年 しゃべり場
3月21日の土曜夜から22日早朝にかけてNHK教育で放映。昨年の紅白歌合戦辺りから鮮明になり始めたNHKとフジテレビのコラボレーション。「イチかバチかプロジェクト」と銘打たれているが、これは首都圏における同放送系列に割り当てられたチャンネルナンバ(1と8)ーのメタファーなのだろうか。
そんなちょっとしたお遊びでも楽しませてくれたが、昨夜の「真剣 中年 しゃべり場」は、「朝まで生テレビ」なみに見応えがあって、途中から見始めたものの、結局、最後まで見てしまい就寝は午前4時頃になってしまった。
NHK教育における若者向け番組の系譜をたどる一幕があり、60年代から80年代初頭までの長寿番組「若者の広場」、80年代の「YOU」、90年代の「真剣10代しゃべり場」、そしてこの間まで続いた「一期一会」。4月からは「青春リアル」というネットと連動した番組になるそう。個人的に思春期とシンクロする世代は、「YOU」になるが、昨夜の日比野克彦の再現にも見られるように、今見ると実に「ユルイ」進行であったように感じた。ただ、80年代にはあの軽さ、POPさ、明るさが時代適合的であったのだろう。バブル前夜の高揚感も反映されていたのか、まさに「なんとなくクリスタル」な時代だった。
中年世代以上に対するアンケート結果で上位に掲げられた「若者のコミュニケーション能力の低下」が、討議のテーマとされた時間帯(比較的長時間に及んだ)があったが、図らずもその過程においては、中年以上の世代が現代的なコミュニケーションの場に対応し切れていない能力不足、努力不足、適応力不足が露呈したように感じた。40代以上がブログもSNSも使わない日常に住んでいる一方、10代、20代は、SNSひとつとっても、mixiなどよりもさらに新興世代のプラットフォームにのっかった日常にいる。これは可視的ではないものの、まさに世代別の異次元、多元空間が広がっているようにも思える。
後半、勝間和代さんや本田由紀さんが若者の日常を紹介しつつ、その抱える課題を社会的課題として提起した一方、堀紘一氏が若者の置かれている環境を理解できないままに徒に発言を繰り返している姿が痛々しく感じた。同氏が常に上から目線で、自らの若かりし頃の昔話を持ち出す姿には、失笑すら洩れていたように思う。冨野監督やフジTVサイドから参加という位置づけの古田新太氏が、旧世代でありながら目線が若者たちに合わせたものであるこのとは対照的であった。
以前、ゆとり教育の急先鋒であった寺脇研氏が、「しゃべり場」に話のわかる文部科学省の課長として意気揚々と登場した際、上から目線で話し続けたのち、「論客」のレギュラーメンバーの少女に「番組の趣旨を理解しないままにやってきて何を語っているのか。」といった趣旨で切り返され、「えっ」と絶句した挙句、それ以後は急に慎重な発言に終始したことを想起させた。氏は、番組終了後のコメントで、完敗であったことと、いい勉強になった旨の発言を残して去った。ただ、そういったやりとりすらも、「ゆとり教育」への取り込みとして整理しようとしたのかもしれない。
いろいろと言われているけれども、いまの若者は自分たちのころよりよっぽどマシだと感じる。これとおんなじことが平成版の「あしたがあるさ(ウルフルズ)」の歌詞に謳われている。
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