学歴分断社会
学歴分断社会 吉川徹 ちくま新書 ¥777
格差論が台頭してはや10年、最近は沈静しつつあるが世間の関心が貧困に移りつつあるだけで格差が解決したわけではない。「勝ち組」、「負け組」に二分されることが多いが、意外に学歴を絡めた展開にはならないと著者は問う。実力主義、能力主義が前面に出てきたことにより、必ずしも難関大学を優秀な成績で卒業したからと言って一生安泰ということがなくなってきたとの背景もあるのか。
同世代に占める高校卒業者の割合は、1970年代半ばに90%を超えてから横這い、すなわち安定化している。同様に大学卒業者の割合は、1980年代に40%台でいったん落ち着き、その後1990年代半ばからやや上昇し、50%をわずかに超えた辺りで横這いとなっている。大学全入、ユニバーサル化の環境にあって、これ以上の上昇は無かろうと言われている。
この結果、どういった社会が出現しつつあるか?
<答え>日本は、大卒と高卒(非大卒)が、ほぼ半数を占める「学歴分断社会」となる。
少々ゾッとする二極分化社会である。これだけはっきりと二分化する属性は性別くらいしかない。院卒や中卒もいるにはいるが、決してマジョリティ化するわけではない。例えは無分別だが、ゲイやレズといったホモセクシャルな人たち程度の比率だろうか。そして、大卒のある人が自身の周囲を見渡すと、周りの人たちもみな大卒。一方、高卒のある人が、近しい人たちの顔を思い浮かべても、やはり高卒。見えない壁に仕切られた「分断社会」がそこにはある。
子育て世代は必読です。
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