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2009.06.28

「戦う組織」の作り方

41qccpaeewl_sl500_aa240_1 「戦う組織」の作り方 渡邉美樹 PHPビジネス新書 ¥798

著者がTVで若者に見せる「手を差し伸べる」優しげな姿勢は本書ではあまり顔を見せない。あくまで経営者としての厳しい姿勢だ。創業時に著者夫婦と寝食を共にした高校時代の友人2人の常務から課長への降格エピソードなど、組織の成長と創業時からの仲間個人の成長が歩調を合わせられない難しさも出てくる。

印象深かったフレーズとして「組織は人を食いながら成長していく」を挙げたい。「つまり組織はその成長段階に合わせて、必要とする人材をどんどん変えていくわけだ。また同じ人間に対しても、要求する水準をどんどん変化させていく。今必要な人間が、五年後、十年後にも必要であるかどうかは誰にもわからない。だから「組織は人を食いながら成長していく」のである。」(本書P51より引用)上記の同級生とのエピソードはここで記されているわけではないが、まさにこのフレーズそのものの事例であろう。「戦う組織」は終身雇用など端から前提としていないのだ。ただし、役員であっても一店員として働き続ける覚悟があるのなら話は別だろうが。

  1. 100年続く「強い組織」を作るために
  2. 成長を続ける「戦う組織」の作り方
  3. 組織を引っ張る「戦うリーダー」の条件
  4. 「戦う部下」を育てるリーダー力の磨き方

「厳しい」とは感じるが、覚悟を持って仕事に臨めば道は開ける、ことを著者は率先垂範することによって示している。個人的に運営権を取得した郁文館夢学園でも、多くの年配の教師が去ったという。本書を読みながら、去って行った教師の立場で読んでいる自分に気づき頭を振る。年に関わらず、守勢に入るとロクなことはない。

ところで、「戦う組織」とか「戦うリーダー」などとやたら「戦う」云々が謳われるが、何と戦うのかは明らかにされなかった。自ら考えろ、ということだろう。

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コメント

小さな企業から大きな企業へ育つ過程で望まれる人材の質や能力が変わって行きますから経営者は、なんとも非情な場面を超えて行かなくてならない・・
この局面でよく会社を大きくするって何だろう?と考えてしまいますよね・・
大きくなった歯車は止まらない・・なんとも恐怖に似た葛藤ですよね。

投稿: とんぼ | 2009.06.28 23:51

組織の成長を取るか、仲間を取るか。一方では、成長を目指さねば志の高い仲間は去っていく。まさに究極の選択ですね。

投稿: 凡太郎 | 2009.06.30 01:27

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