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2009.09.01

日本「半導体」敗戦

51kieu1uiul_sl500_aa240_1 日本「半導体」敗戦 湯之上隆 光文社 ¥1,000

著者は元日立のエンジニア。ちょうど40歳の折、「40歳、課長職以上は、全員、責任を取って退職してもらいたい」との呼びかけに応じ退職した。

本書の最大のテーマは、書名のとおり日本の半導体産業が圧倒的な世界シェアを押さえながら、あっという間にその座を転がり落ちた主因を、DRAMを主体に探るところにある。その主因は本書をご覧いただくとして、著者が転身した社会科学の世界は、半導体産業の現場をまるで知らない素人がしたり顔で論文を書きまくるお寒いところだった。さらには、著者の論文を卑怯な手段で亡きものとしようとする卑劣な輩も。

単なる感想や印象、漠然としたいわゆる「長年の経験」ではなく、足で稼いだアンケートや聞き取りに基づいた展開は説得力がある。生産現場での情報を聞き出す有効な手法として耳にすることがある「生産設備」の納入業者からの情報をさらに掘り下げ、半導体メーカーとその生産設備メーカーの関係に言及する辺りからグイグイと引き込まれる。最終段の「世界一周」の下りは、笑いとともに未来世界を占う。

世の中には「(あらゆる関係者が)わかっているようで、まるでわかっていない」世界があるということと、いかに現場を包括的に眺める視座が重要かを知らしめてくれる。

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コメント

半導体に限らず、日本の家電メーカーも往年の強さを取り戻すことが出来なく、ここ15年苦戦を強いられています。その一方でサムスンやLG電子の決算はここ数年の傾向として好調であり、韓国の経済力アップに貢献しています。日本産業の行く末が心配な今日この頃ですが、選挙戦ではこの点についてもっと議論をしてほしかったです。

投稿: 司馬さんのファン | 2009.09.05 10:27

おっしゃるとおり日本の家電メーカーはグローバル市場における存在感を喪失しつつありますね。研究、開発、市場化へ早くたどりついても、その後の投入資金の額が韓国や欧米企業のそれとは桁が違うので、簡単にひっくり返されてしまう印象があります。視点は少し違いますが、本書でも日本の家電メーカーの凋落ぶりに後半で触れられています。

民主党のマニフェストは世界の中の日本を殆ど意識していない「内向きさ」を強く感じますね。

投稿: 凡太郎 | 2009.09.06 20:31

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