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2009.11.30

不正会計

41vo2gfozcl_sl500_aa240_1 不正会計 杉田望 講談社文庫 ¥730

文庫書き下ろし。舞台は巨大監査法人。そしてその組織が崩壊する。もちろん、モデルは中央青山監査法人。兼高、東興キャピタルという粉飾決算の場も、誰にでも容易に推察がつく確信犯的な設定。

粉飾そのものでなく、監査法人内部の権力抗争、企業とマスコミの関係、さらには国際的な謀略といった切り口でドラマは展開する。

出張途上の車中でズンズンと読み進めることができるテンポの良さがある一方、上場企業の経理や監査法人、公認会計士にかかわりがある人なら、その多くが首を傾げるであろうと思われるような基本的な理解の欠如を窺わせる箇所がしばしば出てくる。筋運びは悪くないのだが、ディテールにリアリティが感じられないためにしらけてしまう。横山秀夫や、得意ジャンルは異なるが福井晴敏のような「神は細部に宿る」、細かい蘊蓄をさりげなく積み重ねていく感覚があれば、読み応えが出てくるのにと思うと少々勿体ない気がする。

著者の手になる「金融夜光虫」でも、「繰延べ税金資産」なる奇妙な表記が頻出した。顰蹙ものである。

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