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2010年8月

2010.08.22

真言密教の本

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真言密教の本 学研 ¥1,260

空海を真正面に据えつつ、歴史、寺院や作法の紹介、そして人物列伝と、多面的に紹介してくれており、あっち行ったりこっちに戻ったりと忙しい。それだけに、関心が持てなかった領域への扉も開いてくれることとなり、視野が広がる。てんこ盛りのようで、よく練られた編集ということなんだろう。

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シャンカラ

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シャンカラ 島岩 清水書院 ¥893

インド哲学の背骨がヒンドゥー教なのか、ヒンドゥー教の下にインド哲学が果実としてもたらされたのか。卵が先か鶏が先か、といった議論はともかく、密教をはじめとして、仏教の足跡だけでは捉えきらない大いなる歴史がそこにはある。

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2010.08.21

幼年期の終わり

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幼年期の終わり アーサー・C・クラーク 早川文庫SF ¥882

これだけの名作だけに、おそらくは中学生の頃に読んでいるんだろうが、まるで記憶していない。確か「地球幼年期の終わり」というタイトルだったと記憶していたのだが、ついさっき検索したところ、そちらのタイトルは創元から出ている方だった。原題はChildhood's End。

てっきりスターチャイルドのような素敵な結末を期待していたのだが。・・・結構ヘビーな読後感となった。

本体そのものもどっしりとしたものだったが、訳者でもある福島正実さんの解説には、久しぶりに解説らしい解説、あるいは文庫本の解説の正統を見せつけられた思いを寄せることとなった。いつの頃からか、文庫本の解説が軽めのものになり、解説と言うよりも単なる印象、感想文、あるいは著者との交友関係を披瀝する雑文程度のものを見せられることに慣れてしまったように思う。

軽佻浮薄な現代にこそ、本格SFを。

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一生折れない自信のつくり方 実践編

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一生折れない自信のつくり方 実践編 青木仁志 アチーブメント出版 ¥1,470

著者にとって最大のベストセラーとなった「一生折れない自信のつくり方」の続編。正編の読者向けの講演会を収録したCDが付いている。1時間余あり、このCDを聴くだけでも値打ちモノでしょう。i-Podに入れておきました。

時折こういったCDを聴かないと生きていけないぐらいに、生きづらい世の中になってしまったってことでしょうかね。

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鈍感力

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鈍感力 渡辺淳一 集英社文庫 ¥420

少し前のベストセラーの文庫版。文庫版に寄せた著者のメッセージの中に、「ただの鈍感と鈍感力はまるで異なる」といった趣旨の一文があった。深く首肯した次第。

この時代、鈍感力が多くの方に求められていますね。ただし、のべつまくなし鈍感力を発揮してしまうと、結局はただの鈍感ってことになるのかもしれない。

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2010.08.19

い・ろ・は・す みかん

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い・ろ・は・す みかん

このところ、PETボトル入り飲料を購入する折には決まってコレ。はまっています。

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生まれ変わりの村③

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生まれ変わりの村③ 森田健 河出書房新社 ¥1,575

シリーズ遂に完結。日経にも大々的に広告されていたこともあり、また、完結ということは総まとめの意味合いもあるものと考え、これまでのように立ち読みで済ませずに購入することに。

前書きにも書かれているが、あくまで著者のペースで進められたこの取材、出版ゆえ、読者様だからといって、声高に、また批判的に読むようなものではないのだろう。本シリーズというおすそ分けをいただいて、いざという時に「忘却のスープ」を飲んでしまわないように心がけておくってところでしょうか。

いよいよわが国での生まれ変わりの情報収集のプロジェクトが始まるようですが、とても興味深く感じるところです。

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仕事でいちばん大切なこと

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仕事でいちばん大切なこと アルボムッレ・スマナサーラ マガジンハウス ¥1,260

「怒らないこと」など多数の著書で著名な著者。さて、初めて読むならどれにするか、と少々逡巡し、汎論が述べられた入門書か、本書かの2冊に絞った後、こちらにした次第。本書とて、入門書にすら至らない軽いハウツー本の体裁ですが、著者ぐらいになれば、体裁など大したテーマではないのでしょう。

借金は良くないと説きながら、貯金を奨励するといった、国民経済、金融の視点からは矛盾するようなアドバイスが出てくるなど、「お金」と表する経済絡みの下りでは、首を傾げる箇所が多くあったものの、「ヴィパッサナー瞑想」の簡単な解説の箇所では、さすがに唸ってしまいました。実況中継や「妄想、妄想、妄想」といった言い回しが登場します。これだけじゃ、何のことかさっぱりわからないでしょうが、「観察」ってとても重要なことのようです。

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魔法のことば108

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魔法のことば108 水口清一 エンタイトル出版 ¥1,050

副題は「ちょっぴり疲れたあなたに贈る」とある。疲れたときに刺激物は禁物ということなのだろうか、ほんわかした印象のまま読了。肩すかしをくらった印象が残ったが、その後、パラパラとめくってみると、初見の折には心に引っかかってこなかったところで目がとまる。

こういった本は何度か読み返す、思いついたときにパラパラと捲ってみるという読み方にこそ向いているのかもしれない。

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伝える力

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伝える力 池上彰 PHPビジネス新書 ¥840

今をときめく池上サンの書。いつもながら池上さんのTVでの切れ味、分かりやすさは、まったく他の追随を許さないと敬服の至りだが、本書や類書は何度か立ち読みの折に手に取ったことがあったもののレジに持っていくことはなかった。こうした何度目かの躊躇の後だが、ここに至って60万部を超えるとなると、一種の社会現象、現代の常識の部類に入ってきていると考え、結局、このたび購入した。

さすがに書かれていることは、いちいちごもっともなのですが、だからと言って、この本を読んで少々の心がけを抱いても、あるいは、少しだけ披瀝されているテクニックを使用したところで池上さんにはなれるまい。

そんな中、意外に現実的だなぁ、と感じながらも、「緩やかな演繹法」には、暗黙知を形式知とするプロセスを感じ、感銘した次第。

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神サマとの輪廻転生ゲームに勝つ方法

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神サマとの輪廻転生ゲームに勝つ方法 愛内清隆・かこ ビオ・マガジン ¥1,575

一見するとずいぶんふざけたタイトルなうえに、愛らしいイラスト、表紙をめくると真偽のほどはともかくいきなりインドの権威的な品々のカラー写真が目に入る。この辺りで既に眉唾係数がレッドゾーン入りするところだが、追い打ちをかけるように、まえがきには「偽善者界のトップランナーを目指して」とある。

第一印象に反して、ずいぶんと広汎な領域を渉猟してきたことを窺わせる内容になっていて、興味深く読了した。著者二人の悩みと迷いの遍歴とこれからの夢が凝縮された一冊ともなっている。

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あの世を味方につける生き方

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あの世を味方につける生き方 美鈴 扶桑社 ¥1,470

著者は、とても評判がよく、シンパの多い霊能者らしい。「相談者が殺到!ビシバシ当たる」とオビにある。アマゾンのレビューも熱烈なものが数多く付されている。

ほんわかした書きぶりのためか、スゥ~と読める。一方、十のうちの全てに納得するわけではもちろんないが、自身の体験や自分なりに消化しているつもりの既存の知識に照らして頷かされるところが多く、心地よい読後感となった。

ページの端の折り目もずいぶん多くなった。

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PRESIDENT 2010.8.31号

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PRESIDENT 2010.8.31号

特集は長期休暇時期のお約束である読書、この一冊もの。タイトルは「経営トップ130人が告白。自分が変わった!この1冊。」。経営トップ一人一人が、その見識と半生を照らすように選んだ書だけに、斜め読みすることもできず、いつになく丁寧に読むこととなった。重みのある読書ガイドである。

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2010.08.08

ヘミシンク探求大全

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ヘミシンク探求大全 今井泰一郎 ハート出版 ¥3,990

今年の7月23日に出版されたばかりにもかかわらず、Amazonではすでに新品なしとは。中古はプレミアつき。最寄りの書店では、店頭に並んだ日の日中には3冊あったものが、夕刻には1冊だけになっていたので慌てて購入した始末。もうじき重版が出てくるんでしょう。

フォーカス21までの紹介となっているが、「大全」の看板に偽りなしといったところであろうか、470ページに及ぶ。

いわゆる痒い所に手が届く書きぶりで、独学者の焦り、不安に懇切に対処してくれる。

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真夏の大蔵海岸

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真夏の大蔵海岸

ホンマ、夏本番ですね。それにしてもこれは日本(温帯)の空ではあるまい。もっとも、自宅近くで沖縄の空を堪能できると思えばありがたいわけですが。

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TAMIYA 1/35 SU-122

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TAMIYA 1/35 SU-122

1/48で製作したこともあり、埋めきれていないパズルのピースを埋めるが如くに組んだTamiya_35_su122_06_miniSU-122。キャタピラはまだ組んでいないままですが、何年も前に作成したT-34/76チェリヤビンスク(タミヤ)とともに。

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2010.08.07

永遠の0

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永遠の0 百田尚樹 講談社文庫 ¥920

職場の後輩に「名作だから」と薦められて購読した。確かに名作だった。575ページもあったが、主に通勤の行き帰りの3日間で読み終えることとなった。

若い世代にとって、戦争を知るということは、このようなフィクションを通じてというアプローチを取ることが標準になりつつあるのかもしれない。40代前半より若い世代は、ガンダムを視聴することを通じて、戦争を体感する人が多いという。もはや大岡昇平の「レイテ戦記」や高木俊朗の「インパール」の時代ではないのか。もっとも、若い世代といっても、まともな歴史教育を学校等の教育機関で受ける機会を奪われた世代という意味においては、60代までの大半の日本人が含まれることになるのかもしれない。

思えば、子どもの頃に毎月さんざん読んだ雑誌「丸」の巻末には、戦後、市井に生きた人たちの生の戦記が収録されているのがお約束だった。中には今であれば活字にするのも憚られるほどの、例えようのないような悲惨なものもあったと思うが、小学生の私にとっては、学校で配られる社会の教科書よりもはるかに、真実の重みがあった。幼少期にこのような体験ができたことは、ありがたいことだと感じている。

というようなことで、私のようなミリタリーや戦記に少々の関心を寄せている者にとっては、世代に関わりなく、本書を一読したとしても、戦記、兵器に関する目新しい知識に目を開くといったことは殆ど無いものと思う。戦記などに殆ど触れてこなかった人たちを主な読者層として設定しているようだ。

とは言え、大東亜戦争全般にそれなりの予備知識のある方にとっても十分に楽しめる。主人公は台南空に始まり、終戦直前の鹿屋まで、零戦部隊の主戦場を渡り歩く設定とされているためである。海軍の主な零戦乗り、坂井三郎、西沢広義、岩本徹三といった、エース列伝の趣きもある。狂言回しは、主人公と目される海軍パイロットの孫だが、主人公とともに戦った海軍関係者を訪ね歩き、彼らの回想を追うという手法をとっており、元特攻要員の引退した上場企業経営者と戦後民主主義教育の徒花の象徴としての若い新聞記者を対峙させる形で、大手新聞社の変節を痛烈に批判するシーンなどの見せ場も多い。

なんとも多くのテーマを欲張って盛り込んだ構成だが、終盤、エンターテインメントあるいは人情話としてのどんでん返しもある。また、川又千秋の「ラバウル烈風空戦録(翼に日の丸)」や、福井晴敏の「終戦のローレライ」などに魅せられた向きには、楽しめる作品であろうと感じる。通底するテイストを感じた。

「2009年最高に面白い本大賞 文庫・文芸部門BEST10」の堂々第1位というのも頷ける逸品でした。

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真の指導者とは

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真の指導者とは 石原慎太郎 幻冬舎新書 ¥903

傲岸不遜、弱者切り捨て、上から目線、芥川賞の辛辣な選評コメント、老害政治、立ち枯れニッポン・・・。

本書を読むまで、私は石原慎太郎という人を大きく誤解していたと大いに反省している。まず冒頭から先入観を覆された。文末表現が敬体なのだ。

  • 自分の頭で考え決断する。
  • 大戦略を持つ 主要矛盾と従属矛盾 毛沢東
  • 決断に中立なし 「決断力のない君主は大概みんな中途半端な中立の道を選ぶ。そしてその大方は滅びていく」・・・マキャベリ「君主論」
  • 「私はけっして社会奉仕をしているのではなくて、そんなものをしているという意識だったら私はとっくにやめているでしょう。自分は神に命じられ、神にこたえるためにこの辛い仕事続けているのです」・・・「マザー・テレサ」シャーロット・グレイ著
  • 頭脳明晰にして非情・・・「周恩来が非常に魅力的な人物であることは事実だが、自分の手で人を殺し、その後、平気でたばこをくわえて悠々と立ち去るような、そういう男でもある」・・・ウォルター・ロビンソン:元米国の極東担当国務次官
  • 自分の運を信じる
  • 虚構の歴史 「もともとアングロ・サクソンというのは歴史を書くのがうまい。実にしっかりとした歴史を書きます。アングロ・サクソン以外では、自分で歴史を書いたのは、中国と日本だけでしょう。ペルシャみたいな歴史のある国でもインドでも、歴史は全部イギリス人が書いた。結局、今残っているのは、アングロ・サクソン史観です。(後略)」・・・岡崎久彦氏
  • A級戦犯とは東京裁判における検察側の呼び方であって、弁護側、被告側、日本側は認めていない。
  • 「誇りと責任は、生命よりもずっと大事だということを、十人の枢要な方々が国家国民の前で示せばいいのです。そうすれば、日本は格段によくなります。(中略)あらゆる分野の責任のある方たちが、『何でおれだけが』と言って、貧乏クジを引かないことだけにあらゆる知恵と努力を集中し、保身をはかってきた日々の結果として、わが国はアングラマネーと暴力団とパチンコ屋と土建屋に占領された、国とも言えない女子供のヘルスセンターのごとき代物になり下がってしまったのです。幼稚な幼稚な、つまらない国になってしまったのです。」・・・『なぜ日本人はかくも幼稚になったのか』福田和也氏
  • 「存在」と「時間」
  • 幸せの本質とは、つまり石原慎太郎という人間が一生をかけて純粋に石原慎太郎になりきることしかないと思う。
  • 「これぞ菩薩の種ならむ、これぞ菩薩の種なる」

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間違ってカレーが来ても喜べる人は必ず幸せになる

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間違ってカレーが来ても喜べる人は必ず幸せになる 高津理恵 マキノ出版 ¥1,300

「間違ってカレーが来ても喜べる人」というのは、いわゆる長者番付のレコードホルダーである斎藤一人さんのことを指します。

  • 自分の人生をお化け屋敷にしないこと。・・・無用な不安をしないこと。
  • 「それがなかなか難しい」・・・なんて何気なく口にしてはいけない。「困難に思えることでも、『簡単だ。おもしろいし、楽しい』といっていると、物事はスムーズに解決します。」
  • どんな物でも、それを扱うときには丁寧に扱うようにしましょう。あなたが手に入れたその物は、もともとお金で買った物。大切にすることで、金運もよくなります。

カレーぐらいだったら食べるかもしれませんが、寿司100人前、しかも特上にぎり、の出前が来たときに大喜びで食えるかどうか、ここがホンモノとニセモノの分かれ道。

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2010.08.01

監査法人入門

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監査法人入門 阿部崇 講談社 ¥1,575

ヨイショ感が過ぎる気もしますが、とてもわかりやすく記されています。どの時代、どこにあっても、世間から目につかない職業は多くあるものです。一方、現代の日本、こういった書がひとつは求められるのでしょう。

私自身、いまさら入門してどうするのだ。

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ノモンハンの真実

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ノモンハンの真実  古是三春 産経新聞出版 ¥2,100

副題は「日ソ戦車戦の実相」。著者は元日本共産党職員。でありながら、軍事、戦記関係誌にライターとして寄稿していたというから、まさに異色の存在であったのだろう。

「ノモンハン」と言えば、惨敗、あるいは航空戦だけは圧勝、といった印象で語られることが多いが、副題に実相と記されているぐらいであるから、これまでの俗説に疑問を投げかけるところから始まる。

全滅した部隊があったり、BT5やBT7への肉弾攻撃の衝撃が強いことから、前半戦での戦車部隊の善戦などは隅に追いやられてしまうが、史上初の戦車部隊による夜戦など瞠目させられるところが多い。少しばかり修飾語が激しい箇所が気になるが、これはこれで高揚感が盛り上がるので読み物としての民族的カタルシスには好都合である。戦車隊員の高技量に支えられた95式ハ号から繰りだす遠距離射撃、精強なる陸軍歩兵。また、敢闘精神旺盛なソ連軍兵士、スペイン内戦から転戦してきたソ連軍エースたち。

実相は時間的、地理的に遥か彼方にあるのだろうが、小説や俗説に語られるよりも、この書で随分と近づける。資料性の高い写真も数多く挿入されている。

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大阪都構想と橋下政治の検証

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大阪都構想と橋下政治の検証 高寄昇三 公人の友社 ¥1,260

副題は「府県集権主義への批判」。地方自治ジャーナルブックレット No.52。

著者は長年に渡り神戸市職員として勤務し、その後、大学教員に転身した方。その経歴ゆえか、政令指定都市、しかも政令市の市民ではなく、職員の視点から書かれている。府県と政令市の権力、権限の奪い合いの構図を示し、政令市側の対抗策を提起している箇所もみられる。

どうなんだろうか。市民にとっちゃ、そんなことどっちでも構わない。暮らし向きが良くなる、納得感のある政治、行政が展開されることこそが、必要であり、それ以外は無駄な話にすぎない。

感情的、扇動的な修飾語も多く、文中に逆接が重ねられる表現があったり、編集途上であったのか、文意がまるで読みとれない文もあった。さらには、文頭が「要するに」で始まる文が重ねられるなど、推敲がなされていない様が垣間見えた。

あるいは、これらのすべては「怒り」を示すための演出に過ぎないのだろうか。であれば、相当に高度な戦術である。

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民の見えざる手 デフレ不況時代の新・国富論

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民の見えざる手 デフレ不況時代の新・国富論 大前研一 小学館 ¥1,575

大前さんの著書は、二種類に大別される。本気モノとお手軽モノである。前者は、往年の「企業参謀」などの、丁寧に推敲、編みあげられたプロの目にも耐えられる気合いの入った書。後者は、時流を読むため、時流に乗るための書。これらは雑誌記事の焼き直しで出版される。本書は後者。

大前さんの真骨頂は、視点の転換にある。そして、その視点の転換は信頼できるソースを基礎にしたデータ分析に根ざすことによって説得力を持つこととなる。4,5年前までの書籍は、前述の後者の分類の書であっても、このような分析があればこそ、説得力があり、目から鱗が落ちまくった。ところが、ハズレがないと見られてきた大前本が、ここ数年おかしい。多くの読者が感じるとおり、投げやりな印象を受ける。自ら経営する株式会社ビジネス・ブレイクスルーの経営が忙しいのだろうか。マザーズに上場している同社の業績はここ数年減収を続けている。

本書もプロローグと第1章は、なるほどと感じさせられる箇所も多く、高揚感もあるのだが、章を追うごとにグダグダになる。多少は腕に覚えがある流通業に関するコメントも、マネジメントレベルどころか、店長会議での企画検討レベルであっても、一笑に付されるか、あるいは「発想は結構だが、アクションプランにどうやって落とし込むの?」と首を傾げられる程度のシロモノだ。後半の都市のグランドデザインに至っては、ちょっと気の利いた高校生のシムシティ・レベル。ひいき目に見ても、公務員を志望する大学生には及ぶまい。こんな人が都知事選に本気で立候補を考えていたとは、ぞっとする。石原さんどころではない独善である。

また、趣味の集まりで「なぜかサラリーマンにはお目にかからない」といった趣旨の記述があるが、国民感覚からの遊離、ここに極まれりといったところか。

一世を風靡したカリスマコンサルタントも、自慢好きのおじいさんになってしまったように感じられ、とても寂しい。

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人生を変える波動の法則

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人生を変える波動の法則 ペニー・ピアース 山川紘矢/山川亜希子 PHP ¥1,785

読書中には「なるほど」と頷く箇所が多く、多くのページの端も折られている。ところが、読了後、どこにどのように感銘を受けたのか、あまり具体的には思いだすことができないでいる。種々、多くの事柄が取り上げられていること、例えばヘミシンクに関しても紹介といった形で取り上げられている、といったところから、総花的な印象が残ったのだろうか。ひょっとすると、「波動」というものの属性そのものが、そんなものなのかもしれない。読んでいた自分はあくまで過去形であり、ただ「いる」だけなのだから。

ずいぶんと深いテーマなんですな、これが。

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障害者福祉の世界 第4版

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障害者福祉の世界 第4版 佐藤久夫・小澤温 有斐閣アルマ ¥2,100

日頃、健常者ばかりの狭い世界で暮らしていると障害者について、殆ど顧みることはない。実体験もなければ、知識もない、さらに言えば関心そのものが生まれてこない。昔から障害者とその家族にとっては、浮世はままならぬものだったのだろうが、一般に暮らしやすくなったと言われる現代ニッポンにおいては果たしてどうなのだろうか。なんとなく社会福祉施設は整備されてきているように感じるし、社会全体が豊かになった恩恵もそういった人たちにも及んでいるのではなかろうか、と漠たる想像をするばかりである。一方で、社会福祉制度はややこしそうといった先入観が立つ。

そんな中、必要性があって本書を手に取った。想像どおり、社会福祉制度はややこしそうだ。とても利用者本人が十分に理解できるとは思えない。

そもそも、「障害とはなにか。」、「障害者とは。」といった問いに、わが国での法的な定義はともかく、国際的なレベルでの共通理解について答えられる人がどれだけいるのか。10人に一人が障害者といったところが、一般的な認識のようだが、これとて解釈次第で伸び縮みする。眼鏡をかけている人を障害者とみるなら、日本人の大半は障害者だ。

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