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2010.08.01

民の見えざる手 デフレ不況時代の新・国富論

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民の見えざる手 デフレ不況時代の新・国富論 大前研一 小学館 ¥1,575

大前さんの著書は、二種類に大別される。本気モノとお手軽モノである。前者は、往年の「企業参謀」などの、丁寧に推敲、編みあげられたプロの目にも耐えられる気合いの入った書。後者は、時流を読むため、時流に乗るための書。これらは雑誌記事の焼き直しで出版される。本書は後者。

大前さんの真骨頂は、視点の転換にある。そして、その視点の転換は信頼できるソースを基礎にしたデータ分析に根ざすことによって説得力を持つこととなる。4,5年前までの書籍は、前述の後者の分類の書であっても、このような分析があればこそ、説得力があり、目から鱗が落ちまくった。ところが、ハズレがないと見られてきた大前本が、ここ数年おかしい。多くの読者が感じるとおり、投げやりな印象を受ける。自ら経営する株式会社ビジネス・ブレイクスルーの経営が忙しいのだろうか。マザーズに上場している同社の業績はここ数年減収を続けている。

本書もプロローグと第1章は、なるほどと感じさせられる箇所も多く、高揚感もあるのだが、章を追うごとにグダグダになる。多少は腕に覚えがある流通業に関するコメントも、マネジメントレベルどころか、店長会議での企画検討レベルであっても、一笑に付されるか、あるいは「発想は結構だが、アクションプランにどうやって落とし込むの?」と首を傾げられる程度のシロモノだ。後半の都市のグランドデザインに至っては、ちょっと気の利いた高校生のシムシティ・レベル。ひいき目に見ても、公務員を志望する大学生には及ぶまい。こんな人が都知事選に本気で立候補を考えていたとは、ぞっとする。石原さんどころではない独善である。

また、趣味の集まりで「なぜかサラリーマンにはお目にかからない」といった趣旨の記述があるが、国民感覚からの遊離、ここに極まれりといったところか。

一世を風靡したカリスマコンサルタントも、自慢好きのおじいさんになってしまったように感じられ、とても寂しい。

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