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2010.09.23

臨死体験(下)

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臨死体験(下) 立花隆 文春文庫 ¥740

「現実体験説」と「脳内現象説」。著者がどちらかというと推すという「脳内現象説」は、終盤に持ちだしたペンフィールドの側頭葉刺激に力を得たかにみえた。ところが、最後はペンフィールド同様に、脳内現象説を推しつつも、どちらとも言えないというあっけなく、また、歯切れの悪い幕切れとなった。

科学的証拠にこだわり、「現実体験説」を裏付けるコメントに対しては、やたらとでっち上げの可能性を振りかざす一方、著者の身内のコメントについては著者が「保証する」という大げさな表現が飛び出す。市井の人のコメントには疑念を向け、権威者のコメントは重用する風に感じられる。こんな姿勢では著者の「保証」がもっとも胡散臭く映る。

膨大なネタを楽しめる大作だが、逆説的に、そして皮肉を込めて、「百聞は一見に如かず」ということを改めて示してくれるものとなった。いわゆるアルタードステーツの水槽をはじめ体験取材も多く試みたようだが、結局、まともな「体験」は一度も得られなかったようだ。膨大な時間とコストをかけ、これだけ貴重な経験を重ねても、ごく初歩的な理解、姿勢に課題があれば、すっきりしない結末しかもたらすことのない好例かもしれない。あるいは、こういったテーマの前にあっては、知性はもとより世俗的な貴賎、権威、等々、なんらの格差もなく平等であることを示しているのだろうか。

終盤、だんだんと著者が哀れに感じられるようになってしまった。

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