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2010.12.01

真珠湾攻撃総隊長の回想 淵田美津雄自叙伝

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真珠湾攻撃総隊長の回想 淵田美津雄自叙伝 講談社文庫 淵田美津雄/中田整一 ¥830

待望の文庫化。小学生のころ、リバイバル上映された「トラ!トラ!トラ!」を大阪・梅田の今はなきOS劇場のシネラマで見た。3台の映写機を使った広角映写技術。亡き田村高廣演じる淵田美津雄中佐が、「ワレ奇襲に成功セリ、トラトラトラや!」と関西弁で昂じるシーン、とても印象的だった。

題にもある飛行総隊長というのは搭乗員による愛称であり、正式には赤城飛行隊長であった。ところが、真珠湾に向かう総勢360機を率いるには、一航戦、二航戦、五航戦を超えた現場指揮官が必要であったところから、現場からインフォーマルな指揮命令系統を求める声が上がったという。ほかにも徹甲爆弾は長門級の主砲弾に尾翼を付けただけの急ごしらえのものだったなど、エピソードには事欠かない。

淵田大佐は真珠湾で有名だが、ミッドウェー海戦時も赤城に乗艦していたという。ところが、決戦直前に虫垂炎を患い、抜糸後の静養中に猛攻を受けたという。飛龍の友永丈市大尉が、整備員が代機を勧めたにもかかわらず、被弾し燃料タンクに穴が開いた真珠湾以来の愛機を駆って最期はヨークタウンに突入、撃沈に繋げた逸話は日本人的美意識として海外でも有名だそうが、実は淵田大佐のピンチ・ヒッターとしての指揮を取ったものだったという。

また、ちょっとした理由からで滞在していた広島を8月5日限りで去ったことなど、幾度となく死地からのがれることとなった体験を積んだという。

そんな淵田大佐は、戦後、クリスチャンに回心する。その感動の経緯は本書をお読みいただくとして、死地を救われるときにも聞いた天啓があったという。私の知人で信仰の厚い人にキリスト教を信仰するようになったきっかけを尋ねた折、「神に呼ばれた」とのたもうたことがあった。煙に巻かれたのか、とも感じたが真実だったのだろう。宗派などの違いはあろうとも、聞こえる人には天の声はきちんと伝わるのであろう。

戦時中に真珠湾の戦果を陛下に奏上すべく実施された異例の佐官級の奏上を行った淵田大佐であったが、戦後のアメリカでの布教旅行では、数々の著名人に相まみえる。トルーマン、アイゼンハワー、副大統領時代のニクソン。マッカーサー、ニミッツ、スプルーアンス。そしてドーリットル。

まさに「人生を二度生きた男」であった。

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