かもめのジョナサン
かもめのジョナサン リチャード・バック 新潮文庫 ¥500
ふた昔前のおやじギャグとしての「かもめのオジサン」であったり、TV中継中に刺殺されたオウム真理教No.2であった村井秀夫がオウムに出家する折に「かもめのジョナサンの心境になった」と語った、などと引き合いに出されることも多い知名度の高い書。
編集者にノセられたのか、40年ほど前に五木寛之氏が翻訳、解説を担っている。しかしながら、若き日の五木氏は本作に対して違和感を抱えていると、解説中で告白している。解説を読む限り、当時、30代であったであろう五木氏は、ピーター・フォンダの「イージー・ライダー」などの米国の若者のヒッピー文化などカウンター・カルチャーの文脈で本作を読みとろうとしたようだ。その結果、悲しいほどにハズした解説になってしまっている。当時の編集者は何やってんだか、と感じてしまう。著名な作家に翻訳、解説を依頼するのであれば、十分な情報を提供しておくべきであろう。仏教に造詣が深い現在の五木氏であれば、とても深い解説がなされるであろうに。できるものなら、うかがってみたいと感じる。
・・・ジョナサンがイエスの生涯をなぞらえられていることは明らかだし、情報が整理された今日的な視点からは、出てくる現象や登場人物が何のメタファーなのかも容易に推定できるが、かといって、本書の清新さ、清涼感が損なわれるわけではまったくない。むしろ、やっぱりね、と自身の認識との重なりに納得感を持ち、ホッとするのではあるまいか。
あたり前のことが、わかりやすく記された寓話なのだろう。
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