生物と無生物のあいだ
生物と無生物のあいだ 福岡伸一 講談社現代新書 ¥777
今さらですが読んでみました。雑誌への寄稿を単行本化したためか、前半部分のDNA発見を巡る列伝と、目下の著者の研究領域に当たると思われる動的平衡にまつわる後半部分とで、トーンがずいぶんと異なる印象を受けました。前半部分の列伝は、若き日の著者のアメリカ時代の追想と重ねあわされているためか、抒情的で誌的、流麗な文体が心地よく感じました。個人的には、こちらの方が気に入りました。若き天才のイメージが強いワトソンとクリックの陰に、薄命の悲劇のヒロインがいたことなど、別の意味での生物らしさ、無生物らしさを感じさせてくれるエピソードにホロリとなりそうです。
もっと早く読んでおけばよかった、と思う反面、半歩遅れのベストセラー読みもオツなモンだと感じます。
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